カテゴリー別アーカイブ: 交通事故

経年性変化と後遺障害等級12級13号の認定

交通事故のむちうちの事案において、脊椎の変性所見があったとしても、

それが経年性の変性である場合には、自賠責保険における後遺障害等級12

級13号は認定されないといわれることがあります。

しかし、結論としてそれは正しくはありません。

後遺障害等級12級13号が認定されるためには、局部に頑固な神経症状

を残すものであることが必要です。

局部に頑固な神経症状を残すものであるとされるには、他覚的所見により

医学的に証明できることが必要です。

上記証明ができれば、経年性変化による変性所見であったとしても、後遺

障害等級12級13号が認定される可能性があるのです。

実例として、経年性変化により後遺障害等級12級13号が認定された例

もあります。

この時の自賠責は、「提出の画像上、経年性変化に伴う脊髄への圧迫所見

が認められること」を指摘し、合わせて「画像所見と整合する腱反射等の神

経学的検査における異常所見が認められること」等を指摘して、結論として

後遺障害等級12級13号を認定しました。

確かに、経年性変化に伴う脊髄への圧迫所見だけでは、医学的に証明でき

るとはいえず、14級9号にとどまるとの認定をされると思われます。

しかし、それに加えて神経学的検査の結果もあると、後遺障害等級12級

13号が認定される可能性があるのです。

弁護士でもこのことを知らない可能性があり、認定される可能性がないと

の説明を受ける可能性がありますので、知っておくとよいかもしれません。

後遺障害で弁護士をお探しの方はこちら

交通事故発生状況

一般財団法人東京都交通安全協会作成の安全運転のしおりによれば、

令和元年中の全国における交通事故発生件数は38万1237件、

死者数は3215人、負傷者数は46万1775人とのことです。

交通事故発生件数と負傷者数は、15年連続して減少していると

のことです。

都内に限れば、令和元年中の交通事故発生件数は3万0467件、

死者数133人、負傷者数3万4777人とのことです。

いずれも平成30年と比較して減少しています。

 

また、一般社団法人日本自動車販売協会連合会によれば、令和2年

の新車販売台数は、普通乗用自動車、小型乗用自動車、普通貨物自

動車、小型貨物自動車、バスの販売台数は前年比87.7%とのこ

とです。

参考リンク

令和2年は、コロナの影響があって台数が減少している可能性があ

りますが、平成30年、令和元年も前年比100%未満のようです

ので、新車の販売台数は減少傾向にあるようです。

実際に走行している車両が減少しているかはわかりませんが、上記

の数字からすれば、減少しているかもしれません。

 

交通事故にあわれて苦しまれている方はたくさんいます。

走行している車両が減少すれば、交通事故も負傷者数も減少す

る可能性があります。

それにより、交通事故で苦しまれる方が少しでも少なくなるとよい

と思います。

 

ただ、弁護士法人心に相談される交通事故事件数は、あまり減少

している感じはしません。

それだけ、まだまだ多くの方が苦しまれているということだと思

います。

これからもそのような多くの方の力になれればよいと思います。

 

再度の後遺障害

交通事故によりけがをし,痛み等の症状が残った場合,自賠責保険等で後遺障害等級認定がされ,

一定額の保険金が支払われることがあります。

自賠責保険での後遺障害等級認定は,同一部位(体の箇所)に同一の後遺障害等級は認めません。

そのため,例えば,一度首の痛みについて後遺障害等級14級9号が認定された場合,同じ首の

痛みについて後遺障害等級14級9号が認定されることはありません。

 

首の痛みではなく,肩の痛みなど,部位が異なる場合には再度14級9号が認定されることはあり

ます。

 

また,同じ首の痛みであっても,以前に認定された等級よりも高い等級であれば認定されることが

あります。

たとえば,一度首の痛みについて14級9号が認定されているものについて,12級13号の認定

がされるような場合です。

 

自賠責では上記のとおりですが,裁判の場合には,同一部位に同一の後遺障害が認定される場合が

あります。

自賠責では,加重障害の要件を充たさないと認定され,非該当になっていることを認めつつ,それ

を前提に,14級相当の神経症状の残存が否定されたものとはいえず,痛みやしびれの症状が継続

していること,前回事故から一定期間が経過し,神経症状は相当程度軽減していたとして後遺障害

についての賠償を認めたケースもあります。

 

過去に一度後遺障害等級認定を受けていたとしても,再度後遺障害についての賠償を受けられるこ

ともあります。

そのようなケースでお悩みの方は,一度弁護士に相談してみるとよいと思います。

定期金賠償

令和2年7月9日に,交通事故の逸失利益の賠償について,定期金賠償を認める判

決が最高裁第一小法廷で出されました。

 

この事件は,交通事故により高次脳機能障害を負った被害者の方が,加害者に対し

損害賠償請求をした事件です。

後遺障害を負った被害者の方が損害賠償請求をする場合に,将来の収入喪失・減少

に対する賠償として,逸失利益の賠償請求をすることが多くあります。

逸失利益について,一括での賠償ではなく,定期金の賠償を求めた点にこの件の特

徴があります。

 

判決では,被害者が,「逸失利益について定期金による賠償を求めている場合におい

て」,不法行為に基づく損害賠償制度の「目的及び理念に照らして相当と認められる

ときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となるものと解される」としていま

す。

さらに,「交通事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近

い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可

能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しな

いと解するのが相当」としています。

 

そのうえで結論として定期金賠償を認めています。

 

 

一括賠償による場合,中間利息控除がされる結果,賠償額がかなり減額されるという

問題があります。

中間利息の利率については,民法の改正により一部是正が図られているといえますが,

それでもなお,被害者側から見て補償が十分とはいえないのではないかと感じられる

ところもあります。

 

定期金賠償がどのような後遺障害に認められるか,裁判所がいう,不法行為に基づく

損害賠償制度の「目的及び理念に照らして相当と認められるとき」でない場合はどの

ような場合なのか,「特段の事情」が認められるのはどのような場合なのか,等,ま

だ不明確な点は残っています。

 

全ての後遺障害に認められてもよいように感じられる反面,14級9号の場合等,比

較的労働能力喪失期間が短期間に限られることがあるものなど,相当と認められるか

について評価が分かれそうな気がするものもあります。

 

今後,これらの点について最高裁判所がどのような判断をするのか,気になります。

新型コロナウイルスの影響

今日は東京でも雪が降りました。

一部積もったところもあったようです。

外を見ると,屋根の上や車の上など,雪が積もっているところがありました。

桜が咲いているところに雪が舞うというのは,それほど多くはないように思います。

 

昨日,本日と,東京では外出を控えるように要請が出されています。

これを受けて,東京都内では,通常の土日よりも外に出ている人は少ないようです。

新型コロナウイルスにより,社会に大きな影響が出ています。

各地で行われているセミナー,研修,イベントも,中止になったりオンラインになっ

たりしています。

 

弁護士の仕事としても,直接の影響だとは断定できませんが,債務整理の相談が

増えてきているように感じます。

仕事が減って収入が減り,返済が厳しくなった,賞与の減少が見込まれ,この

ままでは近いうちに返済が滞ってしまう,などと悩まれている方も多いと思い

ます。

そのような方は,弁護士に相談することで,悩みが軽減されたり解決されたり

するかもしれません。

 

相続の相談はやや減少しているように感じます。

きくところによると,外に出づらいため,弁護士事務所に行って相談すること

を控えているようなこともあるようです。

 

交通事故については,不安で通院しづらいという相談が出ています。

通院した方が体が回復しやすくなると思いますので,できる限り通院した方が

よいのでしょうが,新型コロナウイルスに感染する不安もあると思いますので,

なかなか難しいところだと思います。

医療機関の中には,コロナウイルス対策をしているところもあると思いますので,

そのようなところに通院されるのも一つかもしれません。

 

今後,社会状況がどのようになるかはわかりませんが,新型コロナウイルスの

脅威が去り,多くの方が安心して生活できるようになるとよいと思います。

 

 

 

 

 

自動ブレーキ

弁護士の仕事の一つに交通事故紛争があります。

 

交通事故を予防するための方策の一つとして,自動車の自動ブレーキの普及が進んでいます。

日本を含む多くの国が,自動ブレーキの搭載を義務付けることに合意していましたが,国内

で販売される新車について,自動ブレーキ登載を義務付ける方針で政府が調整に入ったよう

です。

 

具体的な規制の開始時期はまだ未定ですが,いずれは自動ブレーキを搭載していない新車は

販売できなくなりそうです。

 

交通事故の発生件数は平成16年で約95万件であったのが,毎年減少し続け,平成30年

は約43万件まで減少しています。

負傷者数も,平成16年で約118万人であったのが,平成30年は約52万人まで減少し

ています。

 

かなり減少してきてはいますが,まだまだたくさんの方が交通事故に遭い,負傷されています。

 

いずれは新車だけでなく,中古車にも自動ブレーキ登載が義務付けられるかもしれません。

そうなれば,交通事故発生件数,負傷者数もより減少すると思います。

これまでに発生した事故の中には,自動ブレーキを搭載していれば防げた,あるいは少なく

とも重傷者は出なかったと思われる事故も多数あるはずです。

今後,交通事故発生件数,負傷者数が減少することで,交通事故で苦しむ方が少しでも減る

と良いと思います。

 

 

交通事故損害賠償実務研修

今日は,弁護士向け交通事故損害賠償実務研修に参加しました。

 

今日のテーマは高齢者や未成年者の交通事故,高次脳機能障害の基礎でした。

13時から始まり17時ころまで行われました。

 

高齢者,未成年者の交通事故では,特有の問題がいろいろ生じますので,それを

踏まえた対応が必要となります。

厳密に言えば,交通事故に限らず高齢者,未成年者の損害賠償全般に関わる

ものも多くありますので,交通事故以外でも注意をしなければならない点が多々

あります。

 

交通事故の賠償に関しては,民法上の請求と自賠法上の請求があります。

両者は微妙に異なっているため,自賠法上の請求であれば認められるが民法

上の請求では認められないというものもありますし,逆に民法上の請求であれば

認められるが自賠法上の請求では認められないというものもあります。

この辺りを意識しておかないと,請求の仕方の問題で請求が認められないという

事態も生じかねません。

 

また,新しい裁判例なども出ていますので,日々,情報をアップデートしていな

ければ適切な対応ができない可能性もあります。

 

高齢者,未成年者の事故に関する判決として最近出されたものにJR東海事件

とサッカーボール事件があります。

JR東海事件は監督義務者が誰かという点に関する判例であり,サッカーボール

事件は監督義務者の免責事由に関する判例です。

これらの判例を意識して対応することで責任が認められたり認められなかったり

する可能性があります。

 

さらにいえば,情報を収集するだけでは足りず,これらを実際の案件でどのように

活用するかも考えなければなりません。

 

研修に参加することで,活用方法のヒントを得られることもありますし,それにまつ

わる周辺情報も得られる可能性があります。

 

研修に参加するためにはまとまった時間を割かなければなりませんが,いろいろ

得られるものがあり,有益だと思います。

弁護士法人心のホームページ写真の更新

弁護士法人心の各事務所ごとのホームページの集合写真が更新されました!

 

弁護士法人心では,一般の方に弁護士を身近に感じていただく,一般の方に様々な

情報をお伝えするなどの目的から,多数のホームページを作成し,公開しています。

各事務所ごとのホームページもございますし,分野ごとのホームページもございます。

 

弁護士へのご相談をお考えの方や,法律問題でお悩みの方は,ぜひ一度,弁護士法人

心のホームページをご覧いただければと思います。

 

弁護士法人心のホームページでは,ご相談者の方,ご依頼者の方に安心してご相談,

ご依頼いただく等のために,所属弁護士や所属職員等の写真を掲載しております。

その一つとして,集合写真を掲載しておりますが,この度,集合写真を更新いたし

ました。

ご覧いただきました方が,弁護士,弁護士法人心をより身近に感じていただき,

ご相談,ご依頼される方がより安心してご相談,ご依頼いただけますと幸いです。

 

ご興味,ご関心をいただけました方は,ぜひ,弁護士法人心の各事務所ごとの

ホームページや各分野ごとのホームページをご覧いただければと思います。

以下に弁護士法人心 東京駅法律事務所のホームページのリンクを掲載しており

ますので,こちらをクリックしていただければと思います。

 

弁護士法人心 東京駅法律事務所のホームページのリンク

弁護士法人心 池袋駅法律事務所開設

弁護士法人心の10か所目の拠点として,弁護士法人心 池袋駅法律事務所が開設されました。

場所は,池袋駅西部口から徒歩3分のところです。

住所は,東京都豊島区南池袋2-26-4 南池袋平成ビル6Fです。

 

詳細は,弁護士法人心池袋駅法律事務所のホームページにも記載されていますので,ぜひ

ご覧ください。

 

池袋駅は,多くの方がご利用される大きな駅ですので,ご利用いただきやすいかと思います。

JR埼京線,湘南新宿ライン,山手線,東武東上線,西武池袋線,東京メトロ丸の内線,東京

メトロ有楽町線,東京メトロ副都心線が通っており,東京都内はもちろん,埼玉県内からもお

越しいただきやすいかと思います。

 

弁護士法人心では,交通事故,債務整理,相続,遺言など,様々な業務を取り扱っております。

各弁護士は,それぞれ担当分野を有しており,担当分野に集中して取り組むことで,経験,ノウ

ハウの集積を図り,質の高いサービスを提供できるように努めております。

法律問題でお困りの方であれば,いろいろお力になれるかもしれません。

 

東京都内や埼玉県内などにお住まいの方やご勤務されている方で,弁護士への相談をお考え

の方は,ぜひ一度,弁護士法人心 池袋駅法律事務所ご連絡いただければと思います。

ホームページもぜひご覧ください。

 

弁護士法人心 池袋駅法律事務所のサイトをご覧ください。

自賠責保険・共済紛争処理機構

交通事故に遭った場合,自賠責保険・共済に対して保険金の請求をすることがあります。

弁護士法人心の東京駅事務所でも,毎月かなりの件数,自賠責保険・共済に対して保険金の

請求をしています。

 

治療費等の,傷害分のみ請求することもありますし,後遺障害分について請求することも

あります。

請求をした結果,多くの場合は保険金の支払いを受けられますが,中には,支払えないとの

回答がされることもあります。

例えば,そもそも受傷自体に争いがある場合等です。

 

支払えないとの回答がされた場合,まずは,通常異議申立を行います。

異議申立を行った結果,回答が変わることもありますが,中には回答が変わらないものも

あります。

 

そのような場合,再度異議申立を行うこともできますが,紛争処理機構に対して,紛争

処理の申請をすることもできます。

紛争処理機構による紛争処理によって,結論が変わらないことも多いですが,中には,

処理の結果,結論が変わることもあります。

紛争処理は,1度しかできませんので,1度紛争処理が行われた事案については,再度の

紛争処理はできないため,1発勝負となります。

そのため,十分な準備をしたうえで,申請することが重要です。

 

多くの場合は,そこに至るまでにかなりの準備をしているので,準備不足であることは

少ないと思いますが,それでも,申請前には,これ以上できることはないか,よく検討

することが必要です。