カテゴリー別アーカイブ: 債務整理

給料ファクタリング

先日、給料ファクタリングに関する最高裁の判断が出されていました。

 

最高裁は、給料ファクタリングを貸金業法と出資法が定める貸付けに該当するとしました。

 

そもそもファクタリングは、金融庁によれば、債権買取サービスであり、資金調達の一手段であって、法的には、債権譲渡とされる契約とのことです。

通常は、企業の資金調達の一つの方法として使われるようです。

給与のファクタリングは、個人向けのファクタリングであり、給与債権を買い取って、買い取った債権を基に会社に対して給与の支払を求めるようです。

給与ファクタリングは、金融庁から貸付に該当するとの指摘を受けており、今回の最高裁の判断は金融庁が示した判断を追認するような位置づけになるかと思います。

 

給与ファクタリングは、いわゆる金銭消費貸借のようなシンプルなお金の貸し借りではないので、貸付には該当しないとして貸金業法の適用を受けないとして貸金業者以外でも実施しているところはあったようです。

給与ファクタリングの利用者は一定数存在することを考えれば、給与ファクタリング自体の必要性はあるのだと思います。

適切な形で実施されるようになればよいように思います。

なお、譲渡された債権について、雇用していた会社としては、どこに支払いをするべきか判断が難しいケースがあるかと思います。

支払先を間違えると再度同義務が生じますので、弁護士に相談するなどして慎重に判断する必要があるように思います。

2023年

新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

2023年になりました。

まだまだコロナも落ち着かず、不安な日々を過ごされている方も多いかと思います。

今年はコロナが落ち着くなどしてよい年になるように願っていますが、あまり楽観視できる状況ではないように思います。

 

昨年からすでに企業の倒産、個人の法的整理案件は相当に増えてきているように感じられました。

実際事務所で受けている相談の件数も増加傾向にあったようです。

ただ、聞くところによると、今年はさらに増加する見通しだとのことですのでより債務整理の相談は増えるものと思います。

 

世界的にも今年は低調な見通しとなっており、OECDによれば、主要国の経済成長は、マイナスかわずかにプラスとなっており厳しめな見通しとなっています。

日本だけでなく、他の国でも景気は良くない見込みといってよいと思います。

弁護士の仕事としては債務整理が増える見込みであることから、経営が立ち行かなくなる可能性は低いものと思われますが、それ以外の業務は減少するかもしれません。

 

企業倒産が増え不景気になることが見込まれるにもかかわらず、物価はかなり上昇しており、様々な物が値上がりしています。

コロナの収束もなかなか見通せない状況ですし、楽観視はできない状況ですが、なんとか乗り越えていきたいですね。

東京地裁破産再生部の移転

東京地裁の破産再生部が今月移転します。

破産再生部である民事20部は、現時点では霞が関にあります。

霞が関には、地裁・高裁が主に入っている庁舎と簡裁・家裁が主に入っている庁舎があり、そのうち民事20部は簡裁・家裁が主に入っている庁舎に入っています。

そこから、中目黒に新設されたビジネス・コートに移転します。

具体的な移転時期は、10月24日とされています。

申立日によって申し立てる先の庁舎が異なるため、注意が必要です。

 

少し前から任意整理案件よりも破産・再生の案件の相談が増えている印象です。

他の事務所でも同様の傾向が生じているかはわかりませんが、同じような状況であれば全体の申立件数は増えるはずです。

そのため、中目黒への移転は、思ったよりも多くの人に影響を与えるのではないかと思っています。

 

弁護士法人心の東京事務所からだと、裁判所までの距離がやや遠くなるため移動時間が増えそうです。

そのため、若干業務負担が増えそうな印象です。

東京地裁の場合、申立後3日以内に実施される即日面接がありますので、それが現在の電話ではなく対面になるとより負担が増えそうです。

 

ビジネス・コートには商事部や知財部もあり、デジタル化が推進されるようです。

破産・再生事件についてもデジタル化が進むと業務効率がだいぶ上がるような気がしますので、破産・再生事件についてもデジタル化が推進されるとよいなと期待しています。

管財事件と訴訟の受継

破産手続きの申し立てをする際に、すでに訴訟中の債権者がいる場合があります。

そのような場合、破産の申立準備中は、申立代理人弁護士が訴訟について対応するこ

とが想定されます。

実際に、申立代理人として申立準備中に訴訟対応をすることもあります。

 

多くの場合には、破産手続申立を行い、開始決定を受けたうえで、その旨を明らかに

すれば、訴訟は取り下げられて終了することが多いと感じます。

勝訴してもお金の支払いを受けられる可能性がなく、そこに時間や費用や労力をかけ

てもすべて無駄になってしまうからではないかと思います。

 

ただ、配当が発生するようなケースでは、訴訟が取り下げられることなく継続される

ことがあります。

請求されている債権に特に異議がない場合には、それを前提に配当がなされますが、

異議が出された場合には、破産管財人が訴訟を受継します。

ただ、当然に受継されるわけではなく、そのための手続がとられた場合に限られます。

 

管財人が受継した訴訟で請求されていた債権は、判決により請求が認容された場合や

管財人との間で請求を認める内容での和解が成立した場合、その額を前提に按分比例

による配当が行われます。

 

 

 

 

 

転居許可

破産の手続きの過程で、引越しが必要となることがあります。

 

破産の手続きの進捗状況によっては、勝手に引越しをすると問題となります ので、

破産を予定している方で転居もお考えの方は、弁護士等に相談された 方が安心です。

 

まず、破産の申立前の準備中については、原則として転居しても問題はあり ません。

ただ、弁護士に依頼して破産の申立準備中である場合、あまりに遠方に引っ 越して

しまうと、弁護士が対応できずに委任契約を解除されてしまう可能性 があります。

また、あまりに高額の引越費用を支出してしまうと、それ自体が浪費等と指摘され

かねませんので、引越にかける費用にも注意が必要です。

 

次に、申立後については、管財事件の場合、原則として裁判所の許可が必要 です。

ですので、引越前に裁判所に転居先等を伝えて許可を求めます。

裁判所の許可を得たうえで引っ越しをしますが、引越後に転居先での住民票を取得

し、裁判所に提出するよう求められることがあります。

ただし、転居が免責許可決定後になった場合に、住民票の提出は不要とされたケー

スもあります。

 

さらに、免責許可確定後に引越をする場合も考えられます。

この場合、破産の手続きは終了しておりますので、転居の許可も住民票の提出も

不要です。

 

いずれにしても、破産する場合で転居を予定している場合には、弁護士等に相談

されるのがよいと思います。

簡易配当

破産手続きは、比較的多くの弁護士が関与した経験を持つ業務の一つ

です。

 

破産手続きの中の一つの手続として、簡易配当という手続があります。

簡易配当とは、最後配当ができる場合で一定の条件を充たす場合に、

破産管財人の申し立てを受けて裁判所の許可のもと最後配当に代えて

行われる配当です。

 

一定の条件は、「配当をすることができる金額が千万円に満たないと

認められるとき。」、「裁判所が、第三十二条第一項の規定により同

項第五号に掲げる事項を公告し、かつ、その旨を知れている破産債権

者に対し同条第三項第一号の規定により通知した場合において、届出

をした破産債権者が同条第一項第五号に規定する時までに異議を述べ

なかったとき。」、「前二号に掲げるもののほか、相当と認められる

とき。」です。

 

簡易配当の許可がされると、届出をした破産債権者に対する配当見込

額を定めて、簡易配当の手続に参加することができる債権の総額、簡

易配当をすることができる金額及び当該配当見込額が、届出をした破

産債権者に通知されます。

この通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したもの

とみなされます。

 

簡易配当は、手続が簡易であるため、迅速に配当できるというメリッ

トがあります。

配当金の総額が1000万円未満の場合には、原則として簡易配当が

行われるようです。

 

 

任意整理

任意整理とは、債務整理の一つで、各社と個別に交渉して返済額、支払方法等を決める

手続です。

 

任意整理のメリットとしては、柔軟な対応が可能であるという点が挙げられます。

任意整理は、複数債務がある場合に、特定の債務だけを対象とすることもできます。

例えば、勤務先から給与を前借しているような場合や親族が保証人となっている場合

に、これらは任意整理の対象とせず、他の債務のみを対象とすることができます。

 

また、債権者ごとに条件を変えることもできます。

たとえば、A社に対しては、5年60回分割とし、B社に対しては10年120回分

割とすることもできます。

親族に対しては猶予期間を長めにもらい、金融機関を優先して返済するということも

可能です。

 

このようなメリットを重視して、任意整理を選択する方も多くいます。

 

これに対し、任意整理のデメリットとしては、強制力がないことが挙げられます。

任意整理は個別交渉であり、交渉に応じる義務も合意する義務もありません。

そのため、例えばA社との間では5年60回分割での支払いで合意できていたと

しても、B社が3年36回分割での支払でも合意しないということがあり得ます。

1社でも合意できない債務があると、それだけで任意整理ができない、というこ

ともあります。

 

任意整理のメリット、デメリットは上記以外にもあります。

任意整理をするかどうかは、上記も含めたメリット、デメリットを踏まえて判断

する方がよいと思います。

仮に、任意整理ができないとなると、破産や再生を検討しなければならないこと

もあります。

 

任意整理についてお考えの方は、上記を踏まえて検討し、少しでも不明な点、不

安な点があれば、弁護士等の専門家にご相談されると安心です。

債務承認

貸金業者からの借り入れについては、最終取引から5年が経過することで時効

により消滅させることができます。

一部誤解をされている方もいますが、5年が経過したことで自動的に消滅する

のではなく、借り入れを時効により消滅させると伝える(「援用の意思表示」

等といわれます。)ことではじめて消滅します。

 

最終取引から5年が経過していても、借り入れた時効消滅しない場合もありま

す。

その一つとして、債務承認があります。

例えば、自分が借り入れをしていることを認めたり、一部を返済した場合が債

務承認に該当します。

5年経過前だけでなく、5年経過後であっても、債務承認してしまうとその時

点からさらに5年間が経過しなければ、借り入れを時効により消滅させること

はできなくなります。

 

貸金業者からの督促において、まず1000円を入金してくださいと言われた

り、督促の紙に同様の記載がされていることがあります。

1000円返済することで、返済方法等について交渉に乗るかのような説明が

されていることもあります。

これは、返済という債務承認行為を行わせ、借り入れが時効消滅してしまうこ

とを防ぐために行われているものと思われます。

督促を受けた人は、1000円を入金することで、返済が猶予されたり減額さ

れたりするのではないかと期待し、1000円を入金してしまうと思います。

1000円を入金してしまうと、本来であれば時効により消滅させられたかも

しれない借り入れが、その時点では時効により消滅させられなくなり、支払い

をしなければならなくなるのです。

 

長期間返済していなかった借り入れについて督促を受けた場合には、すぐに指

示されたことを実行せずに、まず弁護士に相談した方がよいと思います。

持続化給付金と倒産

コロナの影響で仕事が減少した企業,個人事業主等に対して,事業を継続する

ための資金として持続化給付金が支給されてきました。

経済産業省によれば,今回,支給申請の受付や審査を対応する事務局が新し

くなるようです。

令和2年8月31日までは旧事務局が,令和2年9月1日からは新事務局で

対応するようです。

制度自体が変わったわけではなく,企業の場合が上限200万円,個人事業

主の場合が上限100万円という点に変わりはないようです。

また,一度給付を受けた方は,再度給付申請をすることはできないという点

も変わりはないようです。

 

こういった支援策もあってか,前月の倒産件数は,1991年以降の30年

間で5番目に低いようです。

実態としても上記のとおりであればよいですが,倒産状態にある会社が倒産

するための費用を納められないために,倒産件数としてカウントされていない

可能性もあります。

上記の数字が実態と大きく乖離する事態となっていなければ,と思います。

また,コロナに関連する累計の倒産件数は,すでに全国で300件を超えて

おり,東京だけでも100件を超えているようです。

影響が収束しているわけではありませんので,今後も増加するものと思われ

ます。

 

ただ,弁護士法人心に相談に来られる会社,個人の破産,再生について,実

感としては,想定していたよりも多くはないという状況が続いています。

何とか想定よりも少ない状況で収束を迎えられればと思います。

生活支援

コロナウイルスの影響から,廃業する企業が増えているようです。

廃業しないまでも,仕事が減少し,収入が減ってしまったという方が

多くなっています。

 

コロナの影響により収入が減少するなどして生活が困窮してしまった

方に対する支援については,様々なものが用意されています。

厚生労働省が生活支援の制度をまとめたものを出しているようです。

 

ニュースなどで報道されたため,御存知の方が多いとは思いますが,

一人10万円の特別定額給付金があります。

令和2年4月27日時点での住民基本台帳に記録されている方に対し

1人当たり10万円が給付されるものです。

自治体により,すでに給付の申請受付が始まっているところもある

ようです。

東京も一部始まっているところもあるようですが,まだ始まってい

ないところもあるようです。

 

自粛が続けば続くほど,生活に困窮する方も増えていくと思います

し,早めに給付がされるようになるとよいと思います。

 

他にも,緊急小口資金・総合支援資金や持続化給付金,社会保険料

等の猶予,住居確保給付金等様々なものがあります。

 

詳しく知りたい方は,厚生労働省の生活を支えるための支援のご案

内など御覧いただくとよいかもしれません。

 

厚生労働省の生活を支えるため支援のご案内は,こちら