日別アーカイブ: 2020年10月21日

財産開示手続

裁判で勝っても相手方の財産状態がわからず,実質的に回収できないことがあります。

ない袖は振れないなどということもありますが,お金を持っていない人から金銭を回収

することはできません。

 

ただ,間違いなくないことがわかっていることは少なく,あるかないかもわからない,

というケースがかなりあるように感じます。

そういったケースでは,回収可能性を考えて,弁護士に依頼することを躊躇する,とい

うこともかなりあります。

相談を受けていても,やはり,回収可能性がネックになり,依頼はしないという方も多

くみてきました。

 

相手方の財産状況がわからない場合,相手方の財産を調査する補法として,弁護士会を

通じた照会手続をよく使います。

知っている銀行口座の照会,各種引き落とし口座の照会,保険契約の照会などはよく使

います。

現地調査をしたうえで,相手方の所有するものと思われる車両があれば,車両の所有者

の照会などをすることもあります。

それにより,ある程度あたりがつけられれば,強制執行手続します。

 

それでも財産状況がわからない場合の手続として,財産開示手続があります。

以前は,財産開示手続はあまり有効な方法ではありませんでした。

なぜなら,制裁規定が弱いなどの問題があったからです。

それでも,財産開示手続を利用することで,回収ができたケースもありました。

 

しかし,今年の民事執行法改正により,財産開示手続の利用可能性はかなり高まったと

いえます。

そのような中,改正後の民事執行法による財産開示手続に出頭しなかったケースで,初

の検挙者が出ました。

実際に検挙されたケースが出たことにより,今後,同様のケースでは検挙される可能性

が高いと思われます。

今後は,財産開示手続が無視されるケースは減少すると思われ,以前よりも実効性が髙

まり,利用率も上昇するのではないかと思われます。