日別アーカイブ: 2022年12月14日

家賃保証会社の契約条項

最高裁判所で家賃保証会社の契約書の使用差し止めが命じられました。

 

ざっくりとした内容としては2点挙げられます。

1点目は、契約をしてはならないというもの、2点目は契約書用紙の破棄です。

消費者契約法に違反するとされたのは、①支払を怠った賃料等及び変動費の合計額が賃料3か月分以上に達したときは、無催告にて原契約を解除することができるものとするというもの、②賃料等の支払を2か月以上怠り、保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人と連絡がとれない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ、かつ本件建物を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときは、賃借人が明示的に異議を述べない限り、これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができるとするものです。

いずれも、消費者である賃借人と事業者である 被上告人の各利益の間に看過し得ない不均衡をもたらし、当事者間の衡平を害する ものであるから、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるという べきであるとされています。

 

解除に際しては、原則として、催告が必要であり、無催告で解除できる場合は限定的に考えられるべきです。

特に住居は、生活の基盤となる賃借人にとって非常に重要なものであり、これを奪う解除は、相当に慎重に行われるべきといえます。

①の無催告解除は、賃料等及び変動費の滞納が3か月分以上に達したことだけで、賃借人の生活基盤である住居を無催告で奪うものであり、賃借人に酷であるといえます。

また、②については、実質的な自力救済を認めるものであることや、内容が一義的でないこと、賃借人の不利益回避手段が十分でないことなどから、賃借人に酷であるといえます。

 

保障会社としては、裁判手続きを利用するなどもできますし、必ずしも今回問題となった条項を利用しなくても一定の保護は図られます。

そうである以上、賃借人に大きな不利益を与えてまで保証会社に強い権限を認める必要性はないという考え方は十分にありうると思います。