カテゴリー別アーカイブ: 弁護士の仕事

ヘルメット着用義務

令和5年4月1日から、自転車の運転者にヘルメット着用の努力義務が課されるようになりました。

 

自転車運転者のヘルメット着用については、道路交通法に定められています。

道路交通法の改正により、同法63条の11第1項が「自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。」と定めるようになりました。

あくまでも努力義務にとどまるため、着用していないことが直ちに違法というわけではなく、罰則が科されることはありません。

この改正により、自転車利用者の意識がどの程度変わるかは今後の状況次第と思われます。

 

もともと、自転車利用者の事故が多発しており、弁護士への相談としても、自転車利用者の交通事故の相談はかなり多くなっていました。

中でも、ヘルメット非着用の事故の場合、自転車利用者が重傷を負い、後遺障害が生じるなどによって損害額が高額になることが多くなります。

ヘルメット非着用の場合、自転車運転者の過失として考慮されることもあり、過失割合が争われることもあって、特にもめやすい類型といえます。

 

後遺障害により長年にわたり症状に苦しむ方も多くいますので、そのような事態を避けるためにはヘルメットの着用が有用です。

揉め事を避けるためにも、自らを守るためにも、自転車利用時にはヘルメットを着用する方がよいと思います。

通訳

昨日は、東京で桜の開花が発表されました。

昨日はやや寒かったので桜が開花するというのは意外でした。

日本全国で東京が一番に開花したようです。

九州地方などより西の方が開花が早いイメージがありましたが、東京が一番早いこともあるのですね。

過去にも2020年など、桜の開花について東京が一番早かったことがあるようです。

 

弁護士が仕事をするうえで、通訳の方の協力を得ることがあります。

外国籍の方の相談に通訳の方が同席することもありますが、比較的通訳の方の協力を得ることが多いケースとして刑事事件があります。

逮捕された人が外国籍の場合、日本語が十分に理解できないことがあります。

その場合、通訳の方の協力を得る必要があります。

 

通訳の方は色々な方がいます。

もともと日本で生まれて外国語を勉強されている方もいれば、もともと外国で生まれて日本に来た方もいます。

時にはある程度日本語が理解できる方もいるので、その場合は主に日本語で説明をしながら、適宜通訳の方に補充的に外国語での説明をしていただくこともあります。

通訳の方が誤った翻訳をすると、弁護士の説明が正しく伝わらなかったり、弁護士が本人の言っていることを誤って理解してしまったりする可能性があります。

そのため、通訳の方の果たす役割は相当に重要といえます。

 

電車賃値上げ

東京の電車賃も一部値上げされるようですね。

 

昨今、様々な物の価格が値上がりしています。

生活に必要な物も多くが値上がりしており、多くの家庭の家計に打撃を与えています。

自動販売機の飲料等も気づけば値上がりしていますし、お店においてある商品もだいぶ値上がりした感じがします。

その中で、東京の電車賃も値上げされるようです。

既に他の都道府県では、電車賃の値上げの話が出ていましたので、予想はされていたと思います。

 

ただ、値上げの理由は、インフレというよりも駅のバリアフリー設備の整備費用といわれているようです。

単に物価高を理由とするよりも、バリアフリー化のためという理由を前面に出した方が値上げも受け入れられやすいのでは、という考えもあるかもしれません。

 

最近は裁判のWEB化により、だいぶ裁判所に行く機会も減ったように思います。

各弁護士事務所もWEB対応が進んでおり、今までは事務所に訪問していた管財人面談や個人再生委員との面談も、WEBを利用して行われることが増えてきたように感じます。

法曹関係以外の会社でも、WEB化はだいぶ進んでいるようですので、電車賃の値上げの影響はそこまでではないかもしれません。

私としても、以前と比べて電車を利用する機会は減っているので、電車賃の値上げによる打撃はやや少なく済みそうな気がします。

 

給料ファクタリング

先日、給料ファクタリングに関する最高裁の判断が出されていました。

 

最高裁は、給料ファクタリングを貸金業法と出資法が定める貸付けに該当するとしました。

 

そもそもファクタリングは、金融庁によれば、債権買取サービスであり、資金調達の一手段であって、法的には、債権譲渡とされる契約とのことです。

通常は、企業の資金調達の一つの方法として使われるようです。

給与のファクタリングは、個人向けのファクタリングであり、給与債権を買い取って、買い取った債権を基に会社に対して給与の支払を求めるようです。

給与ファクタリングは、金融庁から貸付に該当するとの指摘を受けており、今回の最高裁の判断は金融庁が示した判断を追認するような位置づけになるかと思います。

 

給与ファクタリングは、いわゆる金銭消費貸借のようなシンプルなお金の貸し借りではないので、貸付には該当しないとして貸金業法の適用を受けないとして貸金業者以外でも実施しているところはあったようです。

給与ファクタリングの利用者は一定数存在することを考えれば、給与ファクタリング自体の必要性はあるのだと思います。

適切な形で実施されるようになればよいように思います。

なお、譲渡された債権について、雇用していた会社としては、どこに支払いをするべきか判断が難しいケースがあるかと思います。

支払先を間違えると再度同義務が生じますので、弁護士に相談するなどして慎重に判断する必要があるように思います。

2024年問題

2024年問題といわれる問題があります。

2024年問題とは、働き方改革関連法により2024年、つまり来年の4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働の上限規制により発生する様々な問題のことです。

 

2024年問題の中には、弁護士としてかかわる可能性のある問題も多数あります。

 

例えば、運送会社の中には、収益性の悪化により倒産するところが増えるのではないかといわれています。

多くの運送会社は、従業員の長時間労働により売上を確保していました。

長時間労働が規制されると、現状の人員で運べる荷物の量が減ってしまうため、売り上げが減少することが見込まれています。

売上の減少に伴い、利益も減少してしまうため、赤字になってしまい、倒産する可能性があるのです。

 

影響を受けるのは会社だけではありません。

個々の従業員についても、同様の懸念があります。

規制を超える時間就労していた従業員は、労働時間が減少する結果、収入が減少することが見込まれます。

収入が減少した結果、支出が収入を上回るようですと、家計が赤字になってしまい、借り入れ等が増えてしまう可能性があります。

支出が収入を大幅に上回るようですと、破産しなければならない可能性も出てきてしまいます。

 

2024年問題は、会社、個人ともに大きな影響を受ける可能性があるのです。

 

2023年

新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

2023年になりました。

まだまだコロナも落ち着かず、不安な日々を過ごされている方も多いかと思います。

今年はコロナが落ち着くなどしてよい年になるように願っていますが、あまり楽観視できる状況ではないように思います。

 

昨年からすでに企業の倒産、個人の法的整理案件は相当に増えてきているように感じられました。

実際事務所で受けている相談の件数も増加傾向にあったようです。

ただ、聞くところによると、今年はさらに増加する見通しだとのことですのでより債務整理の相談は増えるものと思います。

 

世界的にも今年は低調な見通しとなっており、OECDによれば、主要国の経済成長は、マイナスかわずかにプラスとなっており厳しめな見通しとなっています。

日本だけでなく、他の国でも景気は良くない見込みといってよいと思います。

弁護士の仕事としては債務整理が増える見込みであることから、経営が立ち行かなくなる可能性は低いものと思われますが、それ以外の業務は減少するかもしれません。

 

企業倒産が増え不景気になることが見込まれるにもかかわらず、物価はかなり上昇しており、様々な物が値上がりしています。

コロナの収束もなかなか見通せない状況ですし、楽観視はできない状況ですが、なんとか乗り越えていきたいですね。

税制改正大綱

今日、令和5年度税制改正大綱が発表されました。

税制改正大綱そのものが何らかの効力を及ぼすものではありませんが、今後、これに沿った法案等が成立することが見込まれます。

課税対象となる人は、税制改正大綱の内容を踏まえたうえで、対応をしなければならなくなる可能性があります。

 

既に報道等もされているため、ご存知の方も多いかと思いますが、今回の税制改正大綱では、NISAについての変更が盛り込まれています。

これまで120万円であった年間の投資可能額が、年間360万円と3倍の増額されています。

非課税限度額も、これまでの800万円から1800万円と2倍以上に増額されています。

これにより、貯蓄から投資へという流れを作りたいという意向のようです。

日本人の家計の金融資産のうち、いわゆるタンス預金にあたる現金は、2022年3月末時点で105兆円あり、日本国全体でみると投資余力は相当にあるといえます。

 

また、相続税については、これまで相続開始前3年以内に行われた生前贈与について、相続税の課税価格に加算されていたものが、相続開始前7年以内に伸長されています。

この改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用するとされていますので、今すぐに影響が出るわけではありません。

ただ、今後生前贈与を考えている方は、生前贈与の時期について、検討する必要があるかもしれません。

 

いずれも弁護士の仕事に直接影響が出るものではありませんが、相続税に関する改正は、今後の遺産分割や遺言作成等において考慮される可能性があるものであり、弁護士の仕事にも一定の影響が出る可能性があります。

税制改正は、弁護士としても把握しておいた方がよいように思います。

家賃保証会社の契約条項

最高裁判所で家賃保証会社の契約書の使用差し止めが命じられました。

 

ざっくりとした内容としては2点挙げられます。

1点目は、契約をしてはならないというもの、2点目は契約書用紙の破棄です。

消費者契約法に違反するとされたのは、①支払を怠った賃料等及び変動費の合計額が賃料3か月分以上に達したときは、無催告にて原契約を解除することができるものとするというもの、②賃料等の支払を2か月以上怠り、保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人と連絡がとれない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から本件建物を相当期間利用していないものと認められ、かつ本件建物を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときは、賃借人が明示的に異議を述べない限り、これをもって本件建物の明渡しがあったものとみなすことができるとするものです。

いずれも、消費者である賃借人と事業者である 被上告人の各利益の間に看過し得ない不均衡をもたらし、当事者間の衡平を害する ものであるから、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるという べきであるとされています。

 

解除に際しては、原則として、催告が必要であり、無催告で解除できる場合は限定的に考えられるべきです。

特に住居は、生活の基盤となる賃借人にとって非常に重要なものであり、これを奪う解除は、相当に慎重に行われるべきといえます。

①の無催告解除は、賃料等及び変動費の滞納が3か月分以上に達したことだけで、賃借人の生活基盤である住居を無催告で奪うものであり、賃借人に酷であるといえます。

また、②については、実質的な自力救済を認めるものであることや、内容が一義的でないこと、賃借人の不利益回避手段が十分でないことなどから、賃借人に酷であるといえます。

 

保障会社としては、裁判手続きを利用するなどもできますし、必ずしも今回問題となった条項を利用しなくても一定の保護は図られます。

そうである以上、賃借人に大きな不利益を与えてまで保証会社に強い権限を認める必要性はないという考え方は十分にありうると思います。

新幹線オフィス車両

今日は、遠方で労働審判があったため、久しぶりに仕事で新幹線を利用しました。

コロナが発生して以降、裁判がWEB会議が多くなり、あまり裁判所に行く機会もなくなっていましたので、本当にいつぶりだろうかという感じです。

 

今日まで知らなかったのですが、新幹線では、オフィス車両というものが導入されているようです。

オフィス車両では、座席で電話もしてよいとされていますし、WEB会議も行ってよいようです。

仕事をしやすくするためのツールの貸し出しもあるようですし、移動の多い方にとっては、移動時間を有効活用でき、かなりいいものなのではないかと思います。

たまたま、今日は、東京方面に向かう際、オフィス車両に乗ることになり、初めてオフィス車両を利用しました。

オフィス車両の座席はかなり空いていて、乗っている人もまばらな状態でした。

電話している人もおり、比較的気軽に電話やWEB会議などが行えるなと感じました。

実際、私も社内で仕事をしてみましたが、他の人にあまり気を遣わなくてよく、かなりよいなと思いました。

 

このオフィス車両は、8号車限定で、追加料金は不要のようです。

予約時に8号車を選択することで使えるようですので、機会があれば、また利用したいなと思いました。

 

 

うつ病による労災申請

精神障害での労災申請の相談を受けることもあります。

精神障害はその発病が仕事による強いストレスによるものと判断できる場合に労災

認定されます。

 

精神障害での労災認定の要件は、①認定基準の対象となる精神障害を発病している

こと、②認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務によ

る強い心理的負荷が認められること、③業務以外の心理的負荷や個体側要因により

発病したとは認められないこととされています。

そうしますと、仮に仕事によるストレスが強かったとしても、仕事以外でのストレ

スも強い場合やもともと精神症状を抱えていた場合などは労災認定されない可能性

があることになります。

 

心理的負荷の程度は、心理的負荷評価表に従って判断され、そこで心理的負荷の程

度が「強」に該当するとされると、業務による強い心理的負荷が認められることに

なります。

うつ病により労災が認定されるものの一つには、長期間にわたる長時間労働があり

ますが、発病直前3週間でおおむね120時間以上の残業をした場合や、発病直前

3か月間連続して1か月あたりおおむね100時間以上の残業をした場合などは、

心理的負荷の程度が「強」と判断されます。

もちろん、他の要件もありますので、上記の長時間労働があれば必ず労災認定さ

れるわけでもありませんし、上記の時間に満たない場合が全て労災認定されない

わけでもありません。

 

精神障害での労災認定を検討されている方は、弁護士に要件を充たすかどうか等

を相談してみるとよいと思います。