月別アーカイブ: 2021年 7月

オリンピックと事件の関係

東京オリンピックが行われています。

 

東京オリンピックと弁護士の仕事は無関係に思えますが、意外なところで

影響が出たりします。

その一つに、捜査に時間がかかるというものがあります。

 

東京オリンピックを実施するためには、多くの方に警備を担当していただ

かなければなりません。

警備担当者は誰でもよいわけではありませんので、多くの警察官が警備に

あたっているようです。

 

警備を担当する警察官は、その間、刑事事件の捜査を行うことができませ

んので、捜査を行うことができる警察官の数は減少します。

日々新しい刑事事件が発生しますが、少ない人数で新しい刑事事件の捜査

にも対応しなければなりません。

その結果、すでに対応中の刑事事件の捜査に対応できる人数が減少します。

 

少ない人数で刑事事件に対応するためには、優先度の高いものから対応し、

優先度の低いものは、後回しにしなければなりません。

必然的に、優先度の低い刑事事件は、捜査に時間がかかるということにな

ります。

 

一般的に、逮捕、勾留されている刑事事件の方が、短期間で捜査を行う必

要性が高いため、優先的に捜査されます。

在宅の事件は、短期間で捜査を行う必要性が低いため、後回しにされがち

です。

そのため、在宅の事件の捜査には時間がかかります。

 

現在、捜査中の事件の被疑者となっている方の中は、捜査に時間がかかっ

ていることに不安を覚えている方もいるでしょう。

その原因は、オリンピックの実施の可能性がありますので、そうであれば

それほど心配はないと思います。

不安な方は、警察官、検察官、依頼している弁護士に確認をしていただく

とよいかもしれませんね。

証人尋問

訴訟において、証人尋問という手続が行われることがあります。

証人尋問は、その事件に関係する人に裁判所に来てもらって、話をして

もらう手続です。

訴訟の当事者については、当事者尋問といわれますが、実際にはあまり

区別されておらず、まとめて証人尋問と言ってしまうことが多いように

思います。

 

証人尋問は、訴訟において必ず行われる手続ではありません。

事件の種類によっては、むしろ、行われないことの方が多いのではない

かと思えるくらいです。

裁判の進行にもよりますが、和解で終わる場合には証人尋問は行われな

いことが多いと思います。

判決になるものでも、内容によっては証人尋問がないこともあります。

 

証人尋問は、裁判所において話をしてもらう手続ですが、自由に話を

してもらうわけではありません。

一問一答形式で、質問に対する答えとして話をしてもらいます。

弁護士がついている場合には弁護士が質問をしますが、弁護士をつけ

ないいわゆる本人訴訟の場合には、本人が質問をします。

本人に対する尋問の場合には、あらかじめ尋問事項を裁判官に渡し、

裁判官が質問します。

 

証人尋問に先立って、陳述書という書面を提出します。

そのため、証人尋問にはそれほど意味がないといわれれることもあ

るようです。

確かに意味があまりないと感じられることもありますが、一定数か

なり重要な証人尋問もあると感じます。

証人尋問の結果、証言の不自然さが表れ、結果として結論を変えて

しまうということがあるからです。

 

証人尋問は、それだけで結果を左右する可能性もある重要な手続で

すので、軽視しない方がよいと思います。