こんにちは。弁護士の石井です。
先日、最高裁でジョブ型雇用についての配置転換に関する判決が出されました。
これまでの日本社会では、いわゆるメンバーシップ型と呼ばれる働き方が主流でした。
メンバーシップ型の場合、会社側には幅広い配置転換の権利が認められてきた(裏を返せばできる限り雇用確保を図るため配置転換をする義務が課されてきた)といえます。
そのため、配置転換については、会社側に幅広く裁量が認められ、ほとんどの場合配置転換が適法とされてきました。
近年では、ジョブ型雇用と呼ばれる雇用形態が増えてきたようですが、必ずしも厳格には運用されてきておらず、会社の配置転換に関する考え方は、従来とさほど変わっていないようです。
そのため、ジョブ型雇用でも配置転換が比較的緩やかに行われているように思います。
これに対し、今回の最高裁判例を前提とすれば、ジョブ型雇用の場合、会社側には配置転換の権利が必ずしもあるわけではないので、会社側が配置転換をする場合には、それが適法であるかどうかをこれまでよりも慎重に判断すべきということになりそうです。
さらにいえば、雇用契約を締結する際に、労働者側、会社側共に、配置転換の権利の範囲を明確にしておく必要があると思います。
最高裁判所の判断は、原則論に立ち返った当然の判決と言えると思いますが、これまでの実務感覚とは沿わないところがあると思うので、労働者側、会社側共に、意識を変える必要があるように思います。