刑事事件の世界で、弁当切りと呼ばれる手法がありました。
何を言っているかわからない方も多いと思います。
弁当とは、執行猶予のことを指しています。
執行猶予期間中の人のことを弁当持ちということもあります。
弁当切りとは、執行猶予期間を満了させ、前の罪の刑の執行を免れる手法のことです。
これまでは、執行猶予期間中に罪を犯しても、刑の確定時点で前の刑の執行猶予期間が満了していれば、前の刑の執行猶予は取り消されませんでした。
そのため、執行猶予期間中に罪を犯した場合、裁判手続きを長引かせることで刑の確定時期を遅らせることで執行猶予期間を満了させ、前の刑の執行を受けないようにする手法がとられることがありました。
この手法を弁当切りといいます。
この弁当切りが今後できなくなります。
刑法改正により執行猶予期間が経過しても、新たな罪について公訴提起がされている場合(裁判されている場合)刑の言い渡しの効力は続くようになります。
そして、新たな罪について、拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予がつかないときは、前の刑の全部の執行猶予は原則として取り消されます。
要するに裁判手続中は、前の刑の執行猶予期間が経過しても、前の刑の執行はなくならず、いわゆる弁当切りの手法は使えなくなったのです。