買替諸費用と車両の買替え

交通事故により,車両が全損となった場合,買替諸費用が賠償対象であるか問題と

なることがあります。

 

多くの場合,請求がなければ,保険会社が積極的に買替諸費用を賠償することは

ないと思います。

請求したとしても,車両の買い替えがなされていなければ,買替諸費用は賠償しない

と言われることも多くあります。

 

しかし,多くの裁判例では,買替前であっても,買替諸費用の賠償を認めており,

弁護士がそれを踏まえて交渉すると,ほとんどの場合,いくらかは買替諸費用の

賠償を認めるように感じます。

 

諸費用の額自体は,それほど大きくはありませんが,車両本体価格の賠償額のみ

では,車両を購入するのが難しいことも多いため,意外と重要な費目であると

思います。

 

フレーム損傷

自動車事故において,損傷がいわゆるフレームにまで及んでいるかは

重要な点だと思います。

 

フレームにまで損傷が及んでいたとしても,修理自体不可能と判断

されるわけではありませんが,安全性への影響については不明であり,

修理して乗り続けることは進めないと修理業者の方から言われるケース

がかなりあります。

 

そのため,フレームにまで損傷が及んでいるケースでは,買替を選択

される方が多くいます。

 

ただし,買替に要する費用は,経済的全損でない限り,通常賠償され

ませんので,買い替えるかどうかの判断は難しいと思います。

 

 

優先道路直進走行車両と一時停止規制違反走行車両との事故

優先道路と劣後道路が交差するところでは,劣後道路に一時停止規制がされていることが

あります。

 

優先道路を直進走行する車両と,劣後道路から一時停止規制に違反して交差点に進入した

車両との衝突事故において,過失割合が問題となることがあります。

 

この事故における基本的過失割合は,優先車10対劣後車90とされています。

そのため,多くのケースで,この事故については,過失割合が10対90で話し合いが

されています。

 

しかし,同種事故において,優先車の過失割合を否定している裁判例があり,実際,

裁判所の和解案においても,優先車の過失割合を否定する和解案が出されることが

よくあります。

高等裁判所の裁判例でもあり,比較的使いやすい裁判例です。

 

なお,優先道路に該当するかどうかは,一般の方の感覚と異なることが多いので

優先道路該当性は,弁護士等の専門家に確認されたほうがよいと思います。

慰謝料の算定基準(赤い本)

弁護士がよく使用する赤い本の慰謝料算定基準が少し変更されています。

 

以前は,別表Ⅰの適用に際しては,長期かつ不規則な通院の場合実日数の3.5倍程度を慰謝料

算定のための通院期間の目安とすることがあるとしていたのが,通院が長期にわたる場合,症状,

治療内容,通院頻度をふまえ実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とする

こともあるとされました。

 

また別表Ⅱの適用に際しては実通院日数の3倍程度を目安とするとされていたのが,通院が長期に

わたる場合,症状,治療内容,通院頻度をふまえ実日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間

の目安とすることもあるとされました。

 

この変更が実務にどのような影響を与えるか,注目です。

重過失減額

自賠責保険は,ある程度の過失までは考慮せずに保険金の支払いをしています。

 

しかし,被害を受けた方の過失割合が7割以上になるケースでは,2割以上の減額が

されます。

傷害分については,2割の減額となりますが,後遺障害分については,過失の程度に

より減額割合が異なります。

7割以上8割未満が2割の減額,8割以上9割未満が3割の減額,9割以上10割

未満が5割の減額とされています。

 

 

自賠責保険と減額

車両を所有する際には,通常自賠責保険に加入します。

 

交通事故で怪我をされた場合,加害者の加入する自賠責保険に保険金請求をすることができます。

弁護士等が代行して請求することも多くなっていると思います。

 

自賠責保険に保険金請求をすると,損害額の認定をし,認定に沿って保険金の支払いがされます。

これまでは,保険金の請求をした場合,治療単価について減額されることは少なかったように思います。

最近は,自賠責保険への請求を行った際に,治療費等の減額がされるケースが増えてきているように感じます。

 

自賠責保険への請求に際しては,少し注意が必要です。

2016年4月29日

東京高等裁判所で,外れ馬券を経費として認定し,課税処分を取り消す判断がされました。

すでに最高裁判所で,外れ馬券を経費として認定する判断が出ていましたが,その判例の射程を考えるうえで有益な裁判例だと思います。

2016年4月25日

破産の申立があった場合に,実際に債務の返済を免除する免責を認めるかどうかを決めるために,破産の申立人から事情を聴くなどする手続である免責審尋が行われます。

東京地方裁判所では,同時廃止手続における免責審尋手続は,一人あたり30秒もかからないくらいで終了しています。

管財手続の場合,もう少し時間がかかりますが,それほど長時間にならないことが多いです。

2016年4月20日

破産申立に際しては,主として,財産関係に関する資料が必要となります。

手許現金,預貯金,収入,保険,動産,不動産等を明らかにする必要があり,これを裏付ける資料が必要となります。

必要資料は,裁判所によっても一部異なりますので,東京と隣県でも一部異なります。

2016年4月15日

東京地方裁判所では,破産申立後3日以内(平日)に即日面接が実施されています。

即日面接では,裁判官が,申立人代理人弁護士から事案の詳細を聞き取り,そのうえで,同時廃止手続とするか管財手続とするか判断しています。

その日のうちに破産手続の開始決定がされるため,手続が早く進むことになります。