消滅時効

現行民法では,債権の消滅時効期間は,通常10年間とされています。

10年間とされているのはあくまで原則であり,例外として1年から5年といった

短期消滅時効も規定されています。

たとえば,ホテルの宿泊料請求権は,民法174条4号により,消滅時効期間は

1年間とされています。

病院に行って診察を受けた場合の診療報酬請求権は,民法170条1号により,

消滅時効期間は3年間とされています。

民法以外の法律で短期の消滅時効が規定されているものがあります。

たとえば,商事債権の消滅時効は,商法522条により,消滅時効期間は5年間と

されています。

ところが,民法の改正により,これらの消滅時効の規定が変更されることになります。

改正民法では,民法第170条から第174条までは削除とされていますので,上記の

民法上の短期消滅時効はなくなります。

また,商事債権の短期消滅時効の規定もなくなります。

代わりに,というわけでもないですが,改正民法では,消滅時効期間について債権者が

権利を行使することができることを知った時から5年間,権利を行使することができる

時から10年間と規定しています。

消滅時効に関する規定の変更は,実務に大きな影響を与える可能性があります。

また,一時的には,各債権に対し,改正前と改正後とどちらの消滅時効規定が適用される

のか,という問題が生じる可能性があります。

 

改正後しばらくの間は,各方面でやや混乱が生じるかもしれません。

消滅時効が問題となった場合には,ご自身で判断せず,弁護士に相談された方がよいかも

しれません。

司法試験2018

今年も司法試験が始まりました。

 

法務省のインターネットサイトに掲載されている実施日程によれば,今年は,

5月16日,5月17日,5月19日,5月20日の4日間にわたり行われます。

 

試験会場は,全国で複数個所に設置されています。

東京都内は3会場あり,五反田のTOC,有明のTOC有明,八重洲のTKP東京駅

日本橋カンファレンスセンターに設置されています。

 

今年の司法試験は,初日から3日目までに論文式試験を行い,最終日に短答式

試験を行うようです。

 

論文式試験は,初日に選択科目と公法系,2日目に民事系,3日目に刑事系の

試験が行われます。

短答式試験は,1日で憲法,民法,刑法の試験が行われます。

 

弁護士になるためには,原則として,この司法試験に合格している必要があります。

この司法試験に合格できても,直ちに弁護士になれるわけではなく,さらに長期間の

研修を経て,再度試験に合格しなければ,原則弁護士になれません。

 

私もそうでしたが,試験開始後,問題をみて戸惑うこともあると思います。

そのようなときでも,いったん冷静になり,落ち着いて考えると,回答するべきことが

見えてくると思います。

全員合格とは,なかなかいかない試験ですが,できる限り多くの方が合格するといいと

思います。

 

 

持ち込み国選

都道府県によっては,いわゆる持ち込み国選というものがあるようです。

 

持ち込み国選は,簡単にいえば,国選対象事件について,弁護士が依頼を

受けて,自らを国選弁護人として選任(推薦)してもらい,国選弁護人と

して活動するものです。

 

様々な事情から(例えば別件の依頼を受けていた依頼者さんが逮捕されて

しまう,知人から紹介を受けたが経済的に弁護士を依頼するだけの余裕が

ないなど)弁護人として活動したいが,弁護士費用を支払ってもらうことが

できない場合に,有益な制度だと思います。

 

東京では,どうやらそのような対応はされておらず,持ち込み国選はできない

ようです。

東京以外では,それぞれどのような運用がなされているかはわかりませんが,

採用しているところも採用していないところも,それぞれ何らかの事情がある

のでしょうね,詳細は分かりませんが。

 

何とか力になってあげたいと思っても,なんともし難いことがあります。

特に,依頼を受けている事件の依頼者が逮捕されたようなケースでは,刑事事件も

まとめて対応したほうが,全体として対応しやすいということもあります。

 

できることなら,東京でも持ち込み国選が認められるようになってほしいです。

民事事件では民事扶助制度があるので,同じようにできそうな気もするのですが。

 

多重人格による減刑

東京高等裁判所で,窃盗罪の事案で,多重人格を理由に減刑した判決が出されたようです。

 

過去にも,様々な犯罪において,多重人格を理由に無罪等を主張した事案があるようですが,

裁判所ではなかなか採用されないようです。

しかも,この判決は東京高裁というかなり影響力の強い裁判所で出されているため,実務上の

影響がかなり出そうな気がします。

 

まだ判決文は読めていませんが,どのような理由からこのような結論に至ったのか,これまでの

裁判とどのような点が異なっているのか,とても興味があります。

判決全文が出たら読んでみたいです。

今後,同種の案件に対応する場合には,この判決の内容を踏まえて対応する必要がありそうです。

 

多重人格は,解離性同一性障害という病気のようです。

性質上,詐病と疑われることも多く,医師でも認定が難しいため,誤解を受けやすい病気のよう

です。

複数の人格が交代で現れ,他の人格が出現しているときの記憶はないことが多く,日常生活にも

支障をきたすようです。

詳しくないので,よくわかりませんが,特効薬もないようですし,治療は容易ではないようです。

病気を治すか,少なくとも症状を押さえられるようにしないと,再度同じようなことをしてしまい

かねないので,心配です。

 

 弁護士法人心東京駅法律事務所では,刑事事件を取り扱っています。

弁護士費用保険

弁護士費用を保険で賄うことができるものとして,弁護士費用特約があります。

これは,自動車保険に主に附帯されている特約で,交通事故の被害に遭われた

方が使用できるものです。

 

実際に保険に加入している方のほか,家族や同居の親族等も使用できる可能性

があります。

 

弁護士費用特約は,自動車保険だけでなく,火災保険等にも附帯されていること

があり,内容によっては,自動車保険以外の日常の紛争等にもしようできるもの

もあります。

 

特約として附帯されるもの以外に,弁護士費用の支払いを目的とした保険も販売

されています。

紛争等の内容により,使用できる条件が異なるようですが,様々な問題に対応

しており,非常に有用な保険となっています。

まだ,販売している保険会社は多くはありませんが,今後,販売を予定している

保険会社もあり,より身近な保険の一つになることが予想されます。

 

現時点では,紛争が起こったとしても,弁護士の敷居の高さや費用の高さを理由に

弁護士に依頼をせずに解決しようとしてしまう方や,泣き寝入りしている方も多く

いるように聞いています。

弁護士費用保険が広まると,そのようなことが少なくなり,多くの方が,弁護士に

依頼をしてよりよい人生をおくれるようになると思います。

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自賠責保険・共済紛争処理機構

交通事故に遭った場合,自賠責保険・共済に対して保険金の請求をすることがあります。

弁護士法人心の東京駅事務所でも,毎月かなりの件数,自賠責保険・共済に対して保険金の

請求をしています。

 

治療費等の,傷害分のみ請求することもありますし,後遺障害分について請求することも

あります。

請求をした結果,多くの場合は保険金の支払いを受けられますが,中には,支払えないとの

回答がされることもあります。

例えば,そもそも受傷自体に争いがある場合等です。

 

支払えないとの回答がされた場合,まずは,通常異議申立を行います。

異議申立を行った結果,回答が変わることもありますが,中には回答が変わらないものも

あります。

 

そのような場合,再度異議申立を行うこともできますが,紛争処理機構に対して,紛争

処理の申請をすることもできます。

紛争処理機構による紛争処理によって,結論が変わらないことも多いですが,中には,

処理の結果,結論が変わることもあります。

紛争処理は,1度しかできませんので,1度紛争処理が行われた事案については,再度の

紛争処理はできないため,1発勝負となります。

そのため,十分な準備をしたうえで,申請することが重要です。

 

多くの場合は,そこに至るまでにかなりの準備をしているので,準備不足であることは

少ないと思いますが,それでも,申請前には,これ以上できることはないか,よく検討

することが必要です。

借主追い出しと慰謝料

昨日,東京地方裁判所で,家賃滞納者を追い出した大家さんに

慰謝料等約180万円の支払いを命じる内容の判決が出されました。

 

3か月間家賃を滞納したため,大家さんが,玄関の鍵穴部分を覆う

金属製のカバーを取り付けて住民を締め出したようです。

 

締め出された住民は,ホームレス状態となり,ネットカフェなどで

寝泊まりすることを余儀なくされたようです。

 

慰謝料約180万円は,家財道具の処分により思い出の品がすべて

失われたことや家財道具そのものの財産的価値をも踏まえたもので

あるため,他のケースで同程度の金銭の支払いが命じられるものでは

ありませんが,今後,同様のケースにおいて参考にされる可能性が

あります。

 

もろもろの事情で家賃を滞納する人はおり,そのような住民を抱えた

大家さんから,鍵の交換をして締め出してよいかという相談をいただく

ことがあります。

通常違法と考えられており,刑事処分すら受ける可能性がありますので,

実際にご相談をいただいた際には,やめていただくように回答をしています。

 

刑事処分のみならず,今回の判決のように,多額の金銭の支払いを余儀なく

される可能性もありますので,避けるべきでしょう。

時間と労力と費用が掛かってしまいますが,通常どおり,明渡訴訟を提起して,

正当な手続を経るのがよいと思います。

東京マラソン2018

今日は,東京マラソンがありました。

東京駅事務所の近くもコースになっていたようです。

毎年,東京駅事務所の近くを多くのランナーが走っています。

 

東京マラソンには,例年,多くの方が出場しています。

コスプレをして走っている方も見たことがあります。

走るうえでかなり負担になりそうなコスプレもあり,見ていて楽しい

半面,完走できるのか,少し心配にもなります。

 

今年は,気温,湿度等,走りやすい環境下で開催されたようです。

どのような環境で走ることになるかは,おそらく,結果に大きな

影響を与えると思います。

環境がよかったためか,今年の東京マラソンでは,日本記録が

樹立されたとニュースで報道されていました。

2時間6分11秒で42.195キロメートルを走り切ったそうです。

42.195キロメートルを走りきるだけでも十分すごいと思いますが,

2時間6分11秒で走りきるなんて,とてもすごいと思います。

 

若いころに,10キロメートル程度を走ったような記憶はありますが,

その程度の距離でもかなりしんどかったと思います。

その4倍以上ですので,その大変さは,想像もつきません。

 

東京オリンピックでもマラソンは開催されると思いますので,そのときも

今回のようによい記録が出るといいと思います。

 

 

 

平成29年における破産事件の動向

東京地方裁判所本庁で破産・再生事件を取り扱っているのは,民事20部です。

 

東京地方裁判所民事20部に申し立てられた破産事件は,平成に入ってから最も多い年で

2万6561件だったそうです。

平成29年に申し立てられた破産件数は,全部で9801件であり,最も多い年

と比較すると半分以下となっています。

 

ただ,平成28年に申し立てられた破産件数は9496件であり,前年と比較

するとやや増加したようです。

 

平成19年以降,毎年,申し立てられた破産件数は減少していたのですが,

ここにきて増加したことは,景気の後退を示しているかもしれず,今後に少々

不安を感じます。

ただ,1年だけだとたまたまである可能性もあるので,現段階ではなんとも

いえません。

 

最近,債務整理の相談が増えているような気がしていたのも,破産の申立て

件数が増えているという事実からすると,あながち間違ってはいないかも

しれません。

 

今後の破産事件に影響がありそうな事項として気になるのは,銀行による

貸付けに総量規制がされるか,という点です。

総量規制がされると,破産事件の件数の変動に影響を与えると思いますので,

動向を注視しておきたいと思います。

 

他にも,はやりの仮想通貨や,議論されているカジノ構想等も,今後の破産

事件の動向に影響を与えると思いますので,非常に気になるところです。

裁判所の工事の発注

今日は,千葉地方裁判所八日市場支部に行ってきました。

午前11時30分からの期日でしたが,電車の時間の関係で,午前10時30分頃

到着の電車に乗らなければならず,期日の時間の約1時間前に到着しました。

 

裁判所では,ちょうど,書類の廃棄作業が行われており,庁舎入り口付近に大量の

書類がおかれていました。

裁判所は,個人情報等重要な情報が記載された大量の書類を取り扱っているため,

その取り扱いには十分注意しなければなりません。

適切に廃棄して,外部に情報が漏れないようにするため,廃棄作業を専門業者に

委託しているのだと思います。

 

また,八日市場支部は,ちょうど機械設備の改修工事中だったようで,敷地入り口付近の

掲示板に,工事についての書面が貼りだされていました。

機械設備の工事は,実際どのように行われているかは,わかりませんでした。

 

掲示されていた書面を見ると,工事の発注者は東京高等裁判所になっていることがわかります。

これまで,裁判所の工事の発注者が誰であるかは意識したこともありませんでしたが,

その裁判所か,その件の本庁かあるいは最高裁判所だと思っていたので,東京高等

裁判所が発注者となっていることには少々驚きました。

 

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