簡易配当

破産手続きは、比較的多くの弁護士が関与した経験を持つ業務の一つ

です。

 

破産手続きの中の一つの手続として、簡易配当という手続があります。

簡易配当とは、最後配当ができる場合で一定の条件を充たす場合に、

破産管財人の申し立てを受けて裁判所の許可のもと最後配当に代えて

行われる配当です。

 

一定の条件は、「配当をすることができる金額が千万円に満たないと

認められるとき。」、「裁判所が、第三十二条第一項の規定により同

項第五号に掲げる事項を公告し、かつ、その旨を知れている破産債権

者に対し同条第三項第一号の規定により通知した場合において、届出

をした破産債権者が同条第一項第五号に規定する時までに異議を述べ

なかったとき。」、「前二号に掲げるもののほか、相当と認められる

とき。」です。

 

簡易配当の許可がされると、届出をした破産債権者に対する配当見込

額を定めて、簡易配当の手続に参加することができる債権の総額、簡

易配当をすることができる金額及び当該配当見込額が、届出をした破

産債権者に通知されます。

この通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したもの

とみなされます。

 

簡易配当は、手続が簡易であるため、迅速に配当できるというメリッ

トがあります。

配当金の総額が1000万円未満の場合には、原則として簡易配当が

行われるようです。

 

 

行為依存とその治療

先日、弁護士向けの、行為依存とその治療に関する研修を受講しました。

この研修は、刑事事件に関するものです。

 

刑事事件というと、無罪を争うことをイメージする人もいるかもしれま

せんが、多くの刑事事件は、やったことは認めており、それに対する刑

罰の重さを決めることが主として問題となっています。

 

行為依存とその治療は、有罪か無罪かを判断するような事件でも必要と

なるものといえます。

ただ、どちらかといえば、やったことは認めたうえで、刑罰の重さを決

める場面や、それを超えて、次に同じことをしないようにするためにど

うしたらよいかという場面で必要となるものだと思います。

 

行為依存の一つの例として窃盗症があります。

窃盗症は、個人用に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のため

でもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返され

てしまうものです。

この場合、本人を処罰しても結局物を盗もうとする衝動に抵抗できなく

なり、また窃盗を繰り返してしまうということがおこります。

そのような場合には、本人をいくら処罰しても効果がなく、むしろ、治

療を行うことで窃盗を繰り返してしまうことを防止できることがありま

す。

 

行為依存の治療方法にはいくつかの考え方があります。

うまく治療できて、窃盗を繰り返してしまうことが防止できれば、本人

のためにも社会のためにも有益だと思います。

 

書面による準備手続

民事訴訟の手続きの一つとして書面による準備手続きがあります。

通常、裁判においては、各当事者や代理人弁護士が実際に裁判所にいって

手続を行います。

ただ、すべての裁判において、必ず当事者や代理人弁護士が裁判所に行く

ことを必要としてしまうと、日程の調整が難しくなり、裁判がなかなか進

まなくなってしまうことがあります。

そのような場合に取りうる手段の一つとして書面による準備手続きがあり

ます。

書面による準備手続きは。当事者双方やその代理人がいずれも裁判所に行

かなくても実施できる手続ですので、日程の調整はかなりしやすくなりま

す。

書面による準備手続きでは、当事者が準備書面を提出すること等により、

争点を整理することができる手続きですが、準備書面を陳述することや

証拠を採用すること、証拠の取り調べをすること等はできないとされて

います。

そのため、そのようなことが必要な場合には取りづらい手続きであると

もいえます。

それでも、後日に正式な口頭弁論等を実施することで、そのような不都

合は事実上解消できるものと思われます。

 

これまでもあまり利用された経験のない手続きですし、WEBを利用し

た手続きの利用が拡大されると、利用する機会がさらに少なくなるよう

な印象を受けます。

 

ただ、このような手続きもあるということを知っておくとよいかもしれ

ません。

再度の執行猶予

以前に一度でも執行猶予を受けていると、再度執行猶予を受けることは

できないと誤解されているかががいるようです。

実際には、そのようなことはなく、以前に一度執行猶予を受けている方

でも執行猶予を受けることはできます。

 

再度執行猶予を受けることを再度の執行猶予ということがあります。

ここでも誤解されている方もいますが、以前に執行猶予を受けたことが

ある方が、再度執行猶予を受けることの全てを再度の執行猶予というわ

けではありません。

再度の執行猶予は、執行猶予中に罪を犯した者にもう一度執行猶予を与

える場合に使います。

 

再度の執行猶予が付される条件はかなり厳しいですが、認められないわ

けではありません。

これに対し、執行猶予期間を経過した後に再度罪を犯した人が執行猶予

を受けるのは、同じく厳しくはありますが、再度の執行猶予ほどの厳し

さではありません。

疾呼猶予の獲得を希望している方は、弁護士に相談されるとよいと思い

ます。

 

なお、前刑と同種の犯罪をしてしまい、再度の執行猶予を希望する場合

には、再犯防止措置をしっかりと考えるべきだと思います。

前刑の再犯防止措置と同じでは、再犯防止が図れない可能性が高いから

です。

前回の問題、失敗点を確認し、分析したうえで、どのようにしたら再犯

防止が図れるか、よく検討しないと、執行猶予が得られなかったり、得

られたとしても再度犯罪をしてしまい、意味がなくなってしまう可能性

があります。

弁護士とよく相談して検討するとよいと思います。

障害年金請求

障害を負って働けなくなるなどした方が利用できるものとして、障害年金というものが

あります。

障害年金は、主に年金に加入し、年金保険料を納付している方が利用できるものです。

一定の場合には、年金に加入していない場合、年金保険料を納付していない場合でも

年金が支給されることもあります。

 

年金には、国民年金と厚生年金があります。

もともとは、共済年金もありましたが、現在は、厚生年金に一元化されています。

 

国民年金と厚生年金は、年金が支給される場合が異なっています。

ベースは国民年金であり、厚生年金の場合そこに上乗せがあるというイメージで

考えていただくと大きくは違わないかなと思います。

 

障害年金は、あまり知られていなかったり、誤解があったりして、支給されるべ

き状態になっている方でも支給されていないことが多くあるようです。

障害を負ってしまった方の生活を支える大事な制度ですので、多くの方に正しく

知っていただくべきだと思います。

 

障害年金の請求は、弁護士が代理人として行うことができます。

障害年金の請求は自分ですることもできますが、正しい書類を正しい内容で提出

するのが難しいケースもあります。

弁護士に相談することで、適切な年金を受給できる可能性が高められ、安心して

いただけるのではないかと思います。

 

迷うこと、わからないことなどがある場合には、弁護士に相談されるとよいと思

います。

当事務所でも障害年金を取り扱っております。

オリンピックと事件の関係

東京オリンピックが行われています。

 

東京オリンピックと弁護士の仕事は無関係に思えますが、意外なところで

影響が出たりします。

その一つに、捜査に時間がかかるというものがあります。

 

東京オリンピックを実施するためには、多くの方に警備を担当していただ

かなければなりません。

警備担当者は誰でもよいわけではありませんので、多くの警察官が警備に

あたっているようです。

 

警備を担当する警察官は、その間、刑事事件の捜査を行うことができませ

んので、捜査を行うことができる警察官の数は減少します。

日々新しい刑事事件が発生しますが、少ない人数で新しい刑事事件の捜査

にも対応しなければなりません。

その結果、すでに対応中の刑事事件の捜査に対応できる人数が減少します。

 

少ない人数で刑事事件に対応するためには、優先度の高いものから対応し、

優先度の低いものは、後回しにしなければなりません。

必然的に、優先度の低い刑事事件は、捜査に時間がかかるということにな

ります。

 

一般的に、逮捕、勾留されている刑事事件の方が、短期間で捜査を行う必

要性が高いため、優先的に捜査されます。

在宅の事件は、短期間で捜査を行う必要性が低いため、後回しにされがち

です。

そのため、在宅の事件の捜査には時間がかかります。

 

現在、捜査中の事件の被疑者となっている方の中は、捜査に時間がかかっ

ていることに不安を覚えている方もいるでしょう。

その原因は、オリンピックの実施の可能性がありますので、そうであれば

それほど心配はないと思います。

不安な方は、警察官、検察官、依頼している弁護士に確認をしていただく

とよいかもしれませんね。

証人尋問

訴訟において、証人尋問という手続が行われることがあります。

証人尋問は、その事件に関係する人に裁判所に来てもらって、話をして

もらう手続です。

訴訟の当事者については、当事者尋問といわれますが、実際にはあまり

区別されておらず、まとめて証人尋問と言ってしまうことが多いように

思います。

 

証人尋問は、訴訟において必ず行われる手続ではありません。

事件の種類によっては、むしろ、行われないことの方が多いのではない

かと思えるくらいです。

裁判の進行にもよりますが、和解で終わる場合には証人尋問は行われな

いことが多いと思います。

判決になるものでも、内容によっては証人尋問がないこともあります。

 

証人尋問は、裁判所において話をしてもらう手続ですが、自由に話を

してもらうわけではありません。

一問一答形式で、質問に対する答えとして話をしてもらいます。

弁護士がついている場合には弁護士が質問をしますが、弁護士をつけ

ないいわゆる本人訴訟の場合には、本人が質問をします。

本人に対する尋問の場合には、あらかじめ尋問事項を裁判官に渡し、

裁判官が質問します。

 

証人尋問に先立って、陳述書という書面を提出します。

そのため、証人尋問にはそれほど意味がないといわれれることもあ

るようです。

確かに意味があまりないと感じられることもありますが、一定数か

なり重要な証人尋問もあると感じます。

証人尋問の結果、証言の不自然さが表れ、結果として結論を変えて

しまうということがあるからです。

 

証人尋問は、それだけで結果を左右する可能性もある重要な手続で

すので、軽視しない方がよいと思います。

経年性変化と後遺障害等級12級13号の認定

交通事故のむちうちの事案において、脊椎の変性所見があったとしても、

それが経年性の変性である場合には、自賠責保険における後遺障害等級12

級13号は認定されないといわれることがあります。

しかし、結論としてそれは正しくはありません。

後遺障害等級12級13号が認定されるためには、局部に頑固な神経症状

を残すものであることが必要です。

局部に頑固な神経症状を残すものであるとされるには、他覚的所見により

医学的に証明できることが必要です。

上記証明ができれば、経年性変化による変性所見であったとしても、後遺

障害等級12級13号が認定される可能性があるのです。

実例として、経年性変化により後遺障害等級12級13号が認定された例

もあります。

この時の自賠責は、「提出の画像上、経年性変化に伴う脊髄への圧迫所見

が認められること」を指摘し、合わせて「画像所見と整合する腱反射等の神

経学的検査における異常所見が認められること」等を指摘して、結論として

後遺障害等級12級13号を認定しました。

確かに、経年性変化に伴う脊髄への圧迫所見だけでは、医学的に証明でき

るとはいえず、14級9号にとどまるとの認定をされると思われます。

しかし、それに加えて神経学的検査の結果もあると、後遺障害等級12級

13号が認定される可能性があるのです。

弁護士でもこのことを知らない可能性があり、認定される可能性がないと

の説明を受ける可能性がありますので、知っておくとよいかもしれません。

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休日の保釈

弁護士の仕事の一つに保釈申請があります。

保釈は、起訴後も勾留されている被告人を、留置施設などから解放する

手続です。

保釈の申請、保釈の決定は、通常平日に行われますが、保釈決定の出る

曜日時間帯や保釈金の準備の関係で、保釈金の納付が休日にずれ込むこ

ともあります。

 

そもそも保釈金の納付は裁判所で行います。

裁判所は原則として平日しか空いていません。

仮に、保釈金の納付などを平日しか行えないとすると、ゴールデンウィ

ークなどの長期休暇の場合、せっかく保釈決定が出されても、実際に保

釈されるまでに相当な日数経過してしまうこともあり得ます。

そうすると、被告人の身体拘束が不要に長期化してしまい、被告人にと

っての不利益が大きくなってしまいます。

そこで、裁判所は、休日であっても事前に納付日や時間を調整した上で

保釈金の納付を受け付けることがあります。

 

裁判所によって異なる可能性があるため断言はできませんが、休日の受

付の場合、通常、平日の受付の場合とは異なる入り口から裁判所に入る

ものと思われます。

東京地方裁判所の場合、夜間の令状受付の入り口から入ります。

その上で出納課にいき、保釈金を納付します。

保釈金は、機械で数えて間違いがないか確認されます。

間違いなく納付できれば、裁判所から検察庁に書類が送られ、検察庁か

ら勾留施設に連絡がいき、保釈されます。

 

違法な給与ファクタリング

給与ファクタリングとは、給与債権を買い取ってもらう資金調達方法をいいます。

給与ファクタリングを利用すると、一般的に、手数料を引かれた金額を給料日よりも前に現金で

手に入れることができます。

給与ファクタリングは、借り入れではないため、いわゆるブラックリストに載っている方でも利

用できる等のメリットがあるようです。

 

給与ファクタリングを利用する方が増えているようですが、給与ファクタリングの利用には注意

が必要です。

まず、給与ファクタリングの多くは、実質的にかなり高額の利息を取られるということです。

名目は手数料などとされているため、高額の利息を取られているという認識を持ちにくいことも

あるようですが、実質的な年利が1000%を超えるような極めて高額の利息を取られているこ

とがあるようです(警視庁のホームページ参照)。

また、かなり悪質な取り立てを受けることもあるようです。

給与ファクタリングを行う業者は、本来貸金業者として貸金業登録をする必要があります(金融

庁のホームページ参照)。

しかし、貸金業登録せずに給与ファクタリングを行っている業者も多数いるようです。

そのような業者はいわゆる「ヤミ金」であり、そのような業者の給与ファクタリングを利用する

と、悪質な取り立てを受ける可能性もあります。

いわゆるヤミ金の取り立ての場合、大声で恫喝される、勤務先に連絡される、早朝、深夜に取り

立てにくるなどが考えられます。

 

ヤミ金業者が営む給与ファクタリングは、利用しないように気を付けてください。

また、万が一利用してしまった場合には、弁護士等に相談をしてください。