転居許可

破産の手続きの過程で、引越しが必要となることがあります。

 

破産の手続きの進捗状況によっては、勝手に引越しをすると問題となります ので、

破産を予定している方で転居もお考えの方は、弁護士等に相談された 方が安心です。

 

まず、破産の申立前の準備中については、原則として転居しても問題はあり ません。

ただ、弁護士に依頼して破産の申立準備中である場合、あまりに遠方に引っ 越して

しまうと、弁護士が対応できずに委任契約を解除されてしまう可能性 があります。

また、あまりに高額の引越費用を支出してしまうと、それ自体が浪費等と指摘され

かねませんので、引越にかける費用にも注意が必要です。

 

次に、申立後については、管財事件の場合、原則として裁判所の許可が必要 です。

ですので、引越前に裁判所に転居先等を伝えて許可を求めます。

裁判所の許可を得たうえで引っ越しをしますが、引越後に転居先での住民票を取得

し、裁判所に提出するよう求められることがあります。

ただし、転居が免責許可決定後になった場合に、住民票の提出は不要とされたケー

スもあります。

 

さらに、免責許可確定後に引越をする場合も考えられます。

この場合、破産の手続きは終了しておりますので、転居の許可も住民票の提出も

不要です。

 

いずれにしても、破産する場合で転居を予定している場合には、弁護士等に相談

されるのがよいと思います。

改正銃刀法施行

先日仕事で東京都内の警察署に行った際、改正銃刀法が令和4年

3月15日から施行されたことが記載されたポスターを見ました。

 

改正銃刀法は、令和3年6月16日に公布され、令和4年3月1

5日から施行されています。

この改正により、クロスボウ(ボウガン)の所持が原則禁止され、

許可制となったようです。

クロスボウを使用した犯罪の発生を受けて、法律が改正されたよう

です。

多くの方にとっては、クロスボウの所持が原則禁止されていなかっ

たこと自体が驚きではないかと思います。

改正銃刀法が令和4年3月15日から施行されたことも知らなかっ

た方がほとんどではないかと思います。

 

令和4年3月15日午前0時までに所持していたクロスボウについ

ては、一定の猶予期間が設けられており、所持許可を申請する、廃

棄する、適法に所持できる方に譲渡するため、6か月の間は所持で

きるようです。

警察署で無償で処分してもらえるようですので、令和4年3月15

日午前0時時点で所持していた方は、警察に処分依頼をするとよい

かもしれません。

 

所持許可の申請は、令和4年3月15日から受付されているようで

す。

希望される方は、最寄りの警察署に相談に行かれるとよいと思いま

す。

 

改正銃刀法の施行により、犯罪が少しでも減って、皆が安心して暮

らせるとよいと思います。

 

 

成人年齢引き下げ

来月からいわゆる成人年齢の引き下げが行われます。

 

もともと、民法は、「年齢二十歳をもって、成年とする。」としていました。

この規定は長い間改訂されていませんでしたが、平成30年6月13日、民法の

一部を改正する法律(成年年齢関係)により改訂され、令和4年4月1日から施

行されることとされています。

 

成年年齢の引き下げにより、これまで未成年者として保護されていた年齢の人が

保護されなくなることがあります。

 

民法では、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なけれ

ばならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、こ

の限りでない。」、「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」

とされています。

そのため、20歳未満の人が行った法律行為は、取り消すことができ、自分に不

利な契約をしてしまった場合でも、保護されるケースが多くありました。

今後は、18歳、19歳でも成年として扱われるため、未成年者の法律行為とし

て取り消すことができず、保護されなくなるというケースが生じるようになると

考えられます。

 

また、個別法により成年年齢が修正されるケースもあります。

これまでは20歳に達しているかどうかで考えればよかったものが、個別法ごと

に成年年齢を確認しなければならなくなり、わかりづらくなったところもあると

思います。

 

それほど多くの人に影響が生じるわけではありませんが、今後、弁護士への相談

も増えてくることが想定されます。

その都度、問題となる成年年齢が何歳であるか、確認する必要が生じます。

簡易配当

破産手続きは、比較的多くの弁護士が関与した経験を持つ業務の一つ

です。

 

破産手続きの中の一つの手続として、簡易配当という手続があります。

簡易配当とは、最後配当ができる場合で一定の条件を充たす場合に、

破産管財人の申し立てを受けて裁判所の許可のもと最後配当に代えて

行われる配当です。

 

一定の条件は、「配当をすることができる金額が千万円に満たないと

認められるとき。」、「裁判所が、第三十二条第一項の規定により同

項第五号に掲げる事項を公告し、かつ、その旨を知れている破産債権

者に対し同条第三項第一号の規定により通知した場合において、届出

をした破産債権者が同条第一項第五号に規定する時までに異議を述べ

なかったとき。」、「前二号に掲げるもののほか、相当と認められる

とき。」です。

 

簡易配当の許可がされると、届出をした破産債権者に対する配当見込

額を定めて、簡易配当の手続に参加することができる債権の総額、簡

易配当をすることができる金額及び当該配当見込額が、届出をした破

産債権者に通知されます。

この通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したもの

とみなされます。

 

簡易配当は、手続が簡易であるため、迅速に配当できるというメリッ

トがあります。

配当金の総額が1000万円未満の場合には、原則として簡易配当が

行われるようです。

 

 

行為依存とその治療

先日、弁護士向けの、行為依存とその治療に関する研修を受講しました。

この研修は、刑事事件に関するものです。

 

刑事事件というと、無罪を争うことをイメージする人もいるかもしれま

せんが、多くの刑事事件は、やったことは認めており、それに対する刑

罰の重さを決めることが主として問題となっています。

 

行為依存とその治療は、有罪か無罪かを判断するような事件でも必要と

なるものといえます。

ただ、どちらかといえば、やったことは認めたうえで、刑罰の重さを決

める場面や、それを超えて、次に同じことをしないようにするためにど

うしたらよいかという場面で必要となるものだと思います。

 

行為依存の一つの例として窃盗症があります。

窃盗症は、個人用に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のため

でもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返され

てしまうものです。

この場合、本人を処罰しても結局物を盗もうとする衝動に抵抗できなく

なり、また窃盗を繰り返してしまうということがおこります。

そのような場合には、本人をいくら処罰しても効果がなく、むしろ、治

療を行うことで窃盗を繰り返してしまうことを防止できることがありま

す。

 

行為依存の治療方法にはいくつかの考え方があります。

うまく治療できて、窃盗を繰り返してしまうことが防止できれば、本人

のためにも社会のためにも有益だと思います。

 

書面による準備手続

民事訴訟の手続きの一つとして書面による準備手続きがあります。

通常、裁判においては、各当事者や代理人弁護士が実際に裁判所にいって

手続を行います。

ただ、すべての裁判において、必ず当事者や代理人弁護士が裁判所に行く

ことを必要としてしまうと、日程の調整が難しくなり、裁判がなかなか進

まなくなってしまうことがあります。

そのような場合に取りうる手段の一つとして書面による準備手続きがあり

ます。

書面による準備手続きは。当事者双方やその代理人がいずれも裁判所に行

かなくても実施できる手続ですので、日程の調整はかなりしやすくなりま

す。

書面による準備手続きでは、当事者が準備書面を提出すること等により、

争点を整理することができる手続きですが、準備書面を陳述することや

証拠を採用すること、証拠の取り調べをすること等はできないとされて

います。

そのため、そのようなことが必要な場合には取りづらい手続きであると

もいえます。

それでも、後日に正式な口頭弁論等を実施することで、そのような不都

合は事実上解消できるものと思われます。

 

これまでもあまり利用された経験のない手続きですし、WEBを利用し

た手続きの利用が拡大されると、利用する機会がさらに少なくなるよう

な印象を受けます。

 

ただ、このような手続きもあるということを知っておくとよいかもしれ

ません。

再度の執行猶予

以前に一度でも執行猶予を受けていると、再度執行猶予を受けることは

できないと誤解されているかががいるようです。

実際には、そのようなことはなく、以前に一度執行猶予を受けている方

でも執行猶予を受けることはできます。

 

再度執行猶予を受けることを再度の執行猶予ということがあります。

ここでも誤解されている方もいますが、以前に執行猶予を受けたことが

ある方が、再度執行猶予を受けることの全てを再度の執行猶予というわ

けではありません。

再度の執行猶予は、執行猶予中に罪を犯した者にもう一度執行猶予を与

える場合に使います。

 

再度の執行猶予が付される条件はかなり厳しいですが、認められないわ

けではありません。

これに対し、執行猶予期間を経過した後に再度罪を犯した人が執行猶予

を受けるのは、同じく厳しくはありますが、再度の執行猶予ほどの厳し

さではありません。

疾呼猶予の獲得を希望している方は、弁護士に相談されるとよいと思い

ます。

 

なお、前刑と同種の犯罪をしてしまい、再度の執行猶予を希望する場合

には、再犯防止措置をしっかりと考えるべきだと思います。

前刑の再犯防止措置と同じでは、再犯防止が図れない可能性が高いから

です。

前回の問題、失敗点を確認し、分析したうえで、どのようにしたら再犯

防止が図れるか、よく検討しないと、執行猶予が得られなかったり、得

られたとしても再度犯罪をしてしまい、意味がなくなってしまう可能性

があります。

弁護士とよく相談して検討するとよいと思います。

障害年金請求

障害を負って働けなくなるなどした方が利用できるものとして、障害年金というものが

あります。

障害年金は、主に年金に加入し、年金保険料を納付している方が利用できるものです。

一定の場合には、年金に加入していない場合、年金保険料を納付していない場合でも

年金が支給されることもあります。

 

年金には、国民年金と厚生年金があります。

もともとは、共済年金もありましたが、現在は、厚生年金に一元化されています。

 

国民年金と厚生年金は、年金が支給される場合が異なっています。

ベースは国民年金であり、厚生年金の場合そこに上乗せがあるというイメージで

考えていただくと大きくは違わないかなと思います。

 

障害年金は、あまり知られていなかったり、誤解があったりして、支給されるべ

き状態になっている方でも支給されていないことが多くあるようです。

障害を負ってしまった方の生活を支える大事な制度ですので、多くの方に正しく

知っていただくべきだと思います。

 

障害年金の請求は、弁護士が代理人として行うことができます。

障害年金の請求は自分ですることもできますが、正しい書類を正しい内容で提出

するのが難しいケースもあります。

弁護士に相談することで、適切な年金を受給できる可能性が高められ、安心して

いただけるのではないかと思います。

 

迷うこと、わからないことなどがある場合には、弁護士に相談されるとよいと思

います。

当事務所でも障害年金を取り扱っております。

オリンピックと事件の関係

東京オリンピックが行われています。

 

東京オリンピックと弁護士の仕事は無関係に思えますが、意外なところで

影響が出たりします。

その一つに、捜査に時間がかかるというものがあります。

 

東京オリンピックを実施するためには、多くの方に警備を担当していただ

かなければなりません。

警備担当者は誰でもよいわけではありませんので、多くの警察官が警備に

あたっているようです。

 

警備を担当する警察官は、その間、刑事事件の捜査を行うことができませ

んので、捜査を行うことができる警察官の数は減少します。

日々新しい刑事事件が発生しますが、少ない人数で新しい刑事事件の捜査

にも対応しなければなりません。

その結果、すでに対応中の刑事事件の捜査に対応できる人数が減少します。

 

少ない人数で刑事事件に対応するためには、優先度の高いものから対応し、

優先度の低いものは、後回しにしなければなりません。

必然的に、優先度の低い刑事事件は、捜査に時間がかかるということにな

ります。

 

一般的に、逮捕、勾留されている刑事事件の方が、短期間で捜査を行う必

要性が高いため、優先的に捜査されます。

在宅の事件は、短期間で捜査を行う必要性が低いため、後回しにされがち

です。

そのため、在宅の事件の捜査には時間がかかります。

 

現在、捜査中の事件の被疑者となっている方の中は、捜査に時間がかかっ

ていることに不安を覚えている方もいるでしょう。

その原因は、オリンピックの実施の可能性がありますので、そうであれば

それほど心配はないと思います。

不安な方は、警察官、検察官、依頼している弁護士に確認をしていただく

とよいかもしれませんね。

証人尋問

訴訟において、証人尋問という手続が行われることがあります。

証人尋問は、その事件に関係する人に裁判所に来てもらって、話をして

もらう手続です。

訴訟の当事者については、当事者尋問といわれますが、実際にはあまり

区別されておらず、まとめて証人尋問と言ってしまうことが多いように

思います。

 

証人尋問は、訴訟において必ず行われる手続ではありません。

事件の種類によっては、むしろ、行われないことの方が多いのではない

かと思えるくらいです。

裁判の進行にもよりますが、和解で終わる場合には証人尋問は行われな

いことが多いと思います。

判決になるものでも、内容によっては証人尋問がないこともあります。

 

証人尋問は、裁判所において話をしてもらう手続ですが、自由に話を

してもらうわけではありません。

一問一答形式で、質問に対する答えとして話をしてもらいます。

弁護士がついている場合には弁護士が質問をしますが、弁護士をつけ

ないいわゆる本人訴訟の場合には、本人が質問をします。

本人に対する尋問の場合には、あらかじめ尋問事項を裁判官に渡し、

裁判官が質問します。

 

証人尋問に先立って、陳述書という書面を提出します。

そのため、証人尋問にはそれほど意味がないといわれれることもあ

るようです。

確かに意味があまりないと感じられることもありますが、一定数か

なり重要な証人尋問もあると感じます。

証人尋問の結果、証言の不自然さが表れ、結果として結論を変えて

しまうということがあるからです。

 

証人尋問は、それだけで結果を左右する可能性もある重要な手続で

すので、軽視しない方がよいと思います。