任意整理

任意整理とは、債務整理の一つで、各社と個別に交渉して返済額、支払方法等を決める

手続です。

 

任意整理のメリットとしては、柔軟な対応が可能であるという点が挙げられます。

任意整理は、複数債務がある場合に、特定の債務だけを対象とすることもできます。

例えば、勤務先から給与を前借しているような場合や親族が保証人となっている場合

に、これらは任意整理の対象とせず、他の債務のみを対象とすることができます。

 

また、債権者ごとに条件を変えることもできます。

たとえば、A社に対しては、5年60回分割とし、B社に対しては10年120回分

割とすることもできます。

親族に対しては猶予期間を長めにもらい、金融機関を優先して返済するということも

可能です。

 

このようなメリットを重視して、任意整理を選択する方も多くいます。

 

これに対し、任意整理のデメリットとしては、強制力がないことが挙げられます。

任意整理は個別交渉であり、交渉に応じる義務も合意する義務もありません。

そのため、例えばA社との間では5年60回分割での支払いで合意できていたと

しても、B社が3年36回分割での支払でも合意しないということがあり得ます。

1社でも合意できない債務があると、それだけで任意整理ができない、というこ

ともあります。

 

任意整理のメリット、デメリットは上記以外にもあります。

任意整理をするかどうかは、上記も含めたメリット、デメリットを踏まえて判断

する方がよいと思います。

仮に、任意整理ができないとなると、破産や再生を検討しなければならないこと

もあります。

 

任意整理についてお考えの方は、上記を踏まえて検討し、少しでも不明な点、不

安な点があれば、弁護士等の専門家にご相談されると安心です。

交通事故発生状況

一般財団法人東京都交通安全協会作成の安全運転のしおりによれば、

令和元年中の全国における交通事故発生件数は38万1237件、

死者数は3215人、負傷者数は46万1775人とのことです。

交通事故発生件数と負傷者数は、15年連続して減少していると

のことです。

都内に限れば、令和元年中の交通事故発生件数は3万0467件、

死者数133人、負傷者数3万4777人とのことです。

いずれも平成30年と比較して減少しています。

 

また、一般社団法人日本自動車販売協会連合会によれば、令和2年

の新車販売台数は、普通乗用自動車、小型乗用自動車、普通貨物自

動車、小型貨物自動車、バスの販売台数は前年比87.7%とのこ

とです。

参考リンク

令和2年は、コロナの影響があって台数が減少している可能性があ

りますが、平成30年、令和元年も前年比100%未満のようです

ので、新車の販売台数は減少傾向にあるようです。

実際に走行している車両が減少しているかはわかりませんが、上記

の数字からすれば、減少しているかもしれません。

 

交通事故にあわれて苦しまれている方はたくさんいます。

走行している車両が減少すれば、交通事故も負傷者数も減少す

る可能性があります。

それにより、交通事故で苦しまれる方が少しでも少なくなるとよい

と思います。

 

ただ、弁護士法人心に相談される交通事故事件数は、あまり減少

している感じはしません。

それだけ、まだまだ多くの方が苦しまれているということだと思

います。

これからもそのような多くの方の力になれればよいと思います。

 

債務承認

貸金業者からの借り入れについては、最終取引から5年が経過することで時効

により消滅させることができます。

一部誤解をされている方もいますが、5年が経過したことで自動的に消滅する

のではなく、借り入れを時効により消滅させると伝える(「援用の意思表示」

等といわれます。)ことではじめて消滅します。

 

最終取引から5年が経過していても、借り入れた時効消滅しない場合もありま

す。

その一つとして、債務承認があります。

例えば、自分が借り入れをしていることを認めたり、一部を返済した場合が債

務承認に該当します。

5年経過前だけでなく、5年経過後であっても、債務承認してしまうとその時

点からさらに5年間が経過しなければ、借り入れを時効により消滅させること

はできなくなります。

 

貸金業者からの督促において、まず1000円を入金してくださいと言われた

り、督促の紙に同様の記載がされていることがあります。

1000円返済することで、返済方法等について交渉に乗るかのような説明が

されていることもあります。

これは、返済という債務承認行為を行わせ、借り入れが時効消滅してしまうこ

とを防ぐために行われているものと思われます。

督促を受けた人は、1000円を入金することで、返済が猶予されたり減額さ

れたりするのではないかと期待し、1000円を入金してしまうと思います。

1000円を入金してしまうと、本来であれば時効により消滅させられたかも

しれない借り入れが、その時点では時効により消滅させられなくなり、支払い

をしなければならなくなるのです。

 

長期間返済していなかった借り入れについて督促を受けた場合には、すぐに指

示されたことを実行せずに、まず弁護士に相談した方がよいと思います。

文書送付嘱託

弁護士の仕事として裁判上必要な文書を入手する方法として、文書送付嘱託という手

段があります。

文書送付嘱託は、民事訴訟法226条に規定された制度です。

 

文書送付嘱託を利用する場合、利用したい当事者が裁判所に文書送付嘱託申立書を提

出します。

文書送付嘱託申立書には、①開示すべき文書の表示、②文書の所持者、③証明すべき

事実を記載します。

場合によっては、送付の必要性についても記載します。

ただ、送付の必要性については、状況に応じて記載する場合と記載しない場合があり

ますが、多くの場合記載されていないと思います。

私が行う場合も、送付の必要性については記載していませんし、今のところ特に支障

が生じたことはありません。

文書送付嘱託申立がされると、裁判所は、相手方当事者の意見を聞いて嘱託するかを

判断します。

体感でしかありませんが、嘱託されない場合は少ないように感じます。

 

裁判所からの嘱託を受けた第三者の対応はまちまちですが、多くの場合、嘱託に応じ

ていただけるように思います。

直接の交渉では文書が提出されない場合でも、裁判所からの要請であれば出す、とい

われることも少なくありませんので、やはり裁判所からの要請である、という点は大

きいように思います。

 

文書送付嘱託を利用する場合としては、カルテ開示、金融機関の取引履歴、通信業者

の通信履歴等を取得したい場合があります。

うまく活用すれば、有利な証拠を得ることができますので、必要な文書がある場合に

は活用を検討するとよいと思います。

 

 

財産開示手続

裁判で勝っても相手方の財産状態がわからず,実質的に回収できないことがあります。

ない袖は振れないなどということもありますが,お金を持っていない人から金銭を回収

することはできません。

 

ただ,間違いなくないことがわかっていることは少なく,あるかないかもわからない,

というケースがかなりあるように感じます。

そういったケースでは,回収可能性を考えて,弁護士に依頼することを躊躇する,とい

うこともかなりあります。

相談を受けていても,やはり,回収可能性がネックになり,依頼はしないという方も多

くみてきました。

 

相手方の財産状況がわからない場合,相手方の財産を調査する補法として,弁護士会を

通じた照会手続をよく使います。

知っている銀行口座の照会,各種引き落とし口座の照会,保険契約の照会などはよく使

います。

現地調査をしたうえで,相手方の所有するものと思われる車両があれば,車両の所有者

の照会などをすることもあります。

それにより,ある程度あたりがつけられれば,強制執行手続します。

 

それでも財産状況がわからない場合の手続として,財産開示手続があります。

以前は,財産開示手続はあまり有効な方法ではありませんでした。

なぜなら,制裁規定が弱いなどの問題があったからです。

それでも,財産開示手続を利用することで,回収ができたケースもありました。

 

しかし,今年の民事執行法改正により,財産開示手続の利用可能性はかなり高まったと

いえます。

そのような中,改正後の民事執行法による財産開示手続に出頭しなかったケースで,初

の検挙者が出ました。

実際に検挙されたケースが出たことにより,今後,同様のケースでは検挙される可能性

が高いと思われます。

今後は,財産開示手続が無視されるケースは減少すると思われ,以前よりも実効性が髙

まり,利用率も上昇するのではないかと思われます。

 

再度の後遺障害

交通事故によりけがをし,痛み等の症状が残った場合,自賠責保険等で後遺障害等級認定がされ,

一定額の保険金が支払われることがあります。

自賠責保険での後遺障害等級認定は,同一部位(体の箇所)に同一の後遺障害等級は認めません。

そのため,例えば,一度首の痛みについて後遺障害等級14級9号が認定された場合,同じ首の

痛みについて後遺障害等級14級9号が認定されることはありません。

 

首の痛みではなく,肩の痛みなど,部位が異なる場合には再度14級9号が認定されることはあり

ます。

 

また,同じ首の痛みであっても,以前に認定された等級よりも高い等級であれば認定されることが

あります。

たとえば,一度首の痛みについて14級9号が認定されているものについて,12級13号の認定

がされるような場合です。

 

自賠責では上記のとおりですが,裁判の場合には,同一部位に同一の後遺障害が認定される場合が

あります。

自賠責では,加重障害の要件を充たさないと認定され,非該当になっていることを認めつつ,それ

を前提に,14級相当の神経症状の残存が否定されたものとはいえず,痛みやしびれの症状が継続

していること,前回事故から一定期間が経過し,神経症状は相当程度軽減していたとして後遺障害

についての賠償を認めたケースもあります。

 

過去に一度後遺障害等級認定を受けていたとしても,再度後遺障害についての賠償を受けられるこ

ともあります。

そのようなケースでお悩みの方は,一度弁護士に相談してみるとよいと思います。

間接強制却下に対する執行抗告

面会交流を認める調停や審判が成立したものの,子を監護する親が面会交流に応じない場合,

面会交流を求める親は,間接強制をすることができます。

間接強制が認められれば,子を監護する親は,面会交流の応じるまで,毎月一定額の支払義務

を負いますので,間接的に面会交流の実現を図ることができます。

ただ,面会交流の間接強制は,必ずできるものではなく,一定の条件がそろっていなければ

認められず却下されることもあります。

例えば,面会交流の内容が抽象的であるような場合です。

面会交流の頻度が月〇回程度とされていたり,面会の場所が○○近辺とされていたり,面会の

時間が午後などの抽象的なものであったりなどすると,間接強制ができないこともあります。

 

これを避けるためには,調停条項や審判条項を具体的に特定しておく必要がありますが,必

ずしも裁判所が具体的に定めてくれるとは限りません。

むしろ,面会交流を円滑に実現するために,あえて抽象的にして両親の協議により柔軟に実

行していくようにするケースもあります。

具体的にしようとすると,双方の意見の対立が激しくなり,かえって面会交流が実現しにく

くなるということもありますので,そのあたりの判断はなかなか難しいところです。

 

仮に,間接強制が却下されたとしても,その判断に対し,執行抗告を申し立てて争うことも

できます。

執行抗告をする場合には,抗告事件について審理する担当裁判所宛の執行抗告状や抗告理由

書を,却下の判断をした裁判所に提出して行います。

一般論として,抗告審で却下の判断を覆すことは難しいといってよいと思いますが,可能性

がないわけではありませんので,却下の判断に納得できない場合には,執行抗告も検討して

みてもよいかもしれません。

 

執行抗告が認められる可能性がどの程度あるかは,個別のケースにより異なりますので,

執行抗告を検討されている方は,弁護士に相談されるといいと思います。

 

持続化給付金と倒産

コロナの影響で仕事が減少した企業,個人事業主等に対して,事業を継続する

ための資金として持続化給付金が支給されてきました。

経済産業省によれば,今回,支給申請の受付や審査を対応する事務局が新し

くなるようです。

令和2年8月31日までは旧事務局が,令和2年9月1日からは新事務局で

対応するようです。

制度自体が変わったわけではなく,企業の場合が上限200万円,個人事業

主の場合が上限100万円という点に変わりはないようです。

また,一度給付を受けた方は,再度給付申請をすることはできないという点

も変わりはないようです。

 

こういった支援策もあってか,前月の倒産件数は,1991年以降の30年

間で5番目に低いようです。

実態としても上記のとおりであればよいですが,倒産状態にある会社が倒産

するための費用を納められないために,倒産件数としてカウントされていない

可能性もあります。

上記の数字が実態と大きく乖離する事態となっていなければ,と思います。

また,コロナに関連する累計の倒産件数は,すでに全国で300件を超えて

おり,東京だけでも100件を超えているようです。

影響が収束しているわけではありませんので,今後も増加するものと思われ

ます。

 

ただ,弁護士法人心に相談に来られる会社,個人の破産,再生について,実

感としては,想定していたよりも多くはないという状況が続いています。

何とか想定よりも少ない状況で収束を迎えられればと思います。

定期金賠償

令和2年7月9日に,交通事故の逸失利益の賠償について,定期金賠償を認める判

決が最高裁第一小法廷で出されました。

 

この事件は,交通事故により高次脳機能障害を負った被害者の方が,加害者に対し

損害賠償請求をした事件です。

後遺障害を負った被害者の方が損害賠償請求をする場合に,将来の収入喪失・減少

に対する賠償として,逸失利益の賠償請求をすることが多くあります。

逸失利益について,一括での賠償ではなく,定期金の賠償を求めた点にこの件の特

徴があります。

 

判決では,被害者が,「逸失利益について定期金による賠償を求めている場合におい

て」,不法行為に基づく損害賠償制度の「目的及び理念に照らして相当と認められる

ときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となるものと解される」としていま

す。

さらに,「交通事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近

い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可

能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しな

いと解するのが相当」としています。

 

そのうえで結論として定期金賠償を認めています。

 

 

一括賠償による場合,中間利息控除がされる結果,賠償額がかなり減額されるという

問題があります。

中間利息の利率については,民法の改正により一部是正が図られているといえますが,

それでもなお,被害者側から見て補償が十分とはいえないのではないかと感じられる

ところもあります。

 

定期金賠償がどのような後遺障害に認められるか,裁判所がいう,不法行為に基づく

損害賠償制度の「目的及び理念に照らして相当と認められるとき」でない場合はどの

ような場合なのか,「特段の事情」が認められるのはどのような場合なのか,等,ま

だ不明確な点は残っています。

 

全ての後遺障害に認められてもよいように感じられる反面,14級9号の場合等,比

較的労働能力喪失期間が短期間に限られることがあるものなど,相当と認められるか

について評価が分かれそうな気がするものもあります。

 

今後,これらの点について最高裁判所がどのような判断をするのか,気になります。

弁護士法人心千葉法律事務所

弁護士法人心千葉法律事務所がオープンしました。

 

弁護士法人心千葉法律事務所は,弁護士法人心の関東での4つ目の事務所,

千葉県内での2つ目の事務所です。

弁護士法人心千葉法律事務所は,千葉県千葉市中央区弁天1-15-3

リードシー千葉駅前ビル8Fにあります。

JR千葉駅北口から徒歩1分のところにあります。

駅から近いのでとても便利だと思います。

 

 

これまでも,千葉県の多くの方に弁護士法人心をご利用いただいておりま

した。

柏の事務所,東京の事務所にお越しいただいた方も多かったと思います。

 

今後は,弁護士法人心千葉法律事務所もご利用いただけるようになり,

これまでよりも,一層弁護士法人心をご利用いただきやすくなりました。

 

弁護士法人心では,悩みを抱える個人の方,会社の方等様々な方の相談

に対応しております。

相続,交通事故,債務整理,離婚,企業法務等,様々な問題に対応して

おります。

 

法律問題でお困りであったり,弁護士に相談しようか悩まれていたりす

る千葉の方は,是非一度,弁護士法人心千葉法律事務所をご利用くださ

い。

ご相談をご希望の場合には,フリーダイヤル0120-41-2403

までお気軽にお電話ください。

電話以外にも,メール等でのお問合せもいただけます。

詳細は,弁護士法人心千葉法律事務所のホームページをご覧ください。

 

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